少女探偵島都 2018年

2009年くらいから母親が書いていたシリーズ設定をもったいないので2018年より本格的にわいが引き継いでみました。大体1記事でアニメ1話分くらいの長さだと思ってください。コナンや金田一みたいな高校生探偵ミステリーを想定しています。

劇場版少女探偵島都9ー岩本承平の驚愕File❹


7

 


 殺人者は雨の中歩き続けた。
 南唯は優しい少女だった。いじめを見てみぬふりが出来なかった。だから次は南唯がいじめの標的になった。
 殺人者になる運命の少年は公園で1人号泣している女子中学生を見つめた。彼女は裸足だった。
 学校の机には死ねと書かれていて、教科書はゴミ箱に入っていた。
 少年は怒り狂った。教室のドアが破壊され、震えている少女に落書きしていた男女中学生を少年は4人いっぺんに殴り飛ばした。倒れたいじめ加害者を破壊しようとした少年を少女、南唯は止めた。
「ダメだよ、ダメだよ」
唯は泣きながら少年の腕にしがみついた。
「そんな事をしたら、私もジョーヘーも痛いから」
猛り狂う少年は唯の涙の前に止まった。
「痛い、痛い」殺人者はうわ言のように呟いた。

 翌朝、警察からの要請という形で公欠になった都と結城は八木久光の邸宅に向かう長川警部のセダンの中で無言だった。
 結城は隣に座る都を見つめた。ぼーっと窓の外を見ている。
(こいつも流石に無言だな)
結城は思った。
「なあ、思ったんだが」
結城は都に言った。
「別の人間が岩本の指紋とか手に入れて犯行に及んでいる可能性はないか?」
「それはないね」と長川。
「第三の滝山の死体。関節をへし折られ苦しめる目的で意図的に骨折させられた痕跡に生体反応と一緒に岩本の指紋が出てきた。そして奴が八木正平の姿で滝山の関節をへし折り、殺害のため追い詰める映像も残っている。岩本はアニメや小説の犯人と違い、実在の人物に自在に成り済ませるわけではない。変装した相手の首を切断して3Dにかけるか、変装した相手の顔の皮を剥ぎ取るか。いずれにせよ変装された人物は殺されている。この点は八木久光さんにも伝えたが、達観している感じだったな」
「となるともし第4の一柳殺しが共犯の仕業だとしたら、そいつはとんでもなく腕の立つ人物だろうな」
結城はため息をついた。そして都を見た。都はぼーっとしていた。結城はため息をついた。
(まあ、全く岩本の動きが読めないんだ。奴の奇妙な行動の意味…おそらくそれをあいつが解き明かすにはもう一つヒントが必要なんだ。全てを一本に繋げるヒントが)
ぼーっと車窓を見る都。だがそんな都の目に神社で雨宿りをする少女が見えた。
「長川警部止めて」
都が急に声を出し、長川警部は「む」と声を出しつつ車を停車させた。
「結城君と長川警部は先に八木さんのおうちに! 後で歩いて追いかけるから」
「おいおい」結城の声にも振り返らず、都は車から飛び出した。

 雨が降るなかで、一人の小学生の少女が神社の境内で雨宿りをしていた。その少女にキャラクター入りの傘が差し出された。結城はそれを少し離れた場所から見守ることにした。
「でへ」
島都がその少女に微笑みかけた。
「いい天気だねー」御堂の中に一緒に入る都に「滅茶苦茶悪いじゃん」と少女。
「何で八木久光さんの家に石を投げたのかな」都の問いに少女は何も言わずにうつむいた。
「私を捕まえるの?」
「でへ、無理です。こんな小さな体だし、私は結城君というお友達がいなければ、犯人を捕まえることは出来ません」
ふと少女は目を見開いた。その台詞は年上の親友南唯の台詞と同じだった。
「ジョーヘーがいなかったら、私は何も出来なかったよ」
あの時、はにかみながら唯はそう言っていた。
「あいつが、私の親友に酷いことをしたから」
少女は体育座りのまま体を震わせた。
「唯は凄く苦しんでいたのに。性犯罪で凄く怖かったのに。裁判でみんな性犯罪者の味方をして。あいつは私の親友の気持ちを踏みにじったの!」

「警備を断る?」
八木久光があぐらをかいて応接室に座り込んでいるのを前に、長川警部は信じられないという表情をした。
「次に岩本に殺されるのは貴方かもしれませんよ」
「それが息子の罪を償う事ならばやむを得まい」
八木久光はそれだけ言った。
「岩本君に茶菓子を出してもてなし、その後で存分に殺されよう」
「本気ですか?」
長川は唖然とする。
「どうします?」
鈴木刑事が長川に耳打ちした。
「このまま帰るわけにはいかないだろう」
長川はため息をついた。
「とにかく敷地外に警察官を待機させて、部外者の出入りを完全にチェックするんだ」
長川が指示を出した時「部外者でーす」と都が手をあげて挨拶した
「都!」
長川警部がびっくらこくのを無視して、八木久光の前に立つ島都。
「八木久光さん、嘘はダメだよ」
と都は声をあげた。久光の顔がひきつる。
「八木久光さん、あなたは裁判で南唯さんを地獄に落とすような嘘をついたよね」
都の目は厳しかった。

「当時の裁判記録? あの連続性犯罪事件の?」
高校の探検部で高野瑠奈がスマホ越しに都に話しかけた。千尋と勝馬と板倉がテレビゲーム画面から振り返る。
「わかった。ネットに上がっていると思うから調べてみる」
と瑠奈は電話を切った。
千尋、進路指導室のPC、空いているよね」
「ああ、だけどあのPC、BL鑑賞会していたのがばれて私使用できないんだよね」
千尋てへぺろする。
「私が一緒だから大丈夫」
瑠奈は真剣な表情で言った。

「冗談じゃない、なぜ俺が岩本に狙われるんだ」
と所轄警察署署長室で白倉警視は爪を噛んだ。
「なぜ本庁の警備部ではなく所轄で警護されなければいけないのだ
「それは私たちは白倉警視にお世話になっているからですよ」
警察署署長が晴れやかな笑顔で笑っていた。
「お前ら、岩本に俺が殺されればいいと思っているんだろう」
白倉は目をギョロギョロさせて喚いた。
「思っていませんよ」
署長はへらへら笑った。
「ただ岩本は警察病院の警備も突破するだけの能力がありますからね。どうすれば貴方の命が守れるかは悩ましいですよ」
(ここにいたらまずい)
白倉は部屋にいる警察幹部を見回した。
(こいつらは俺を守るつもりはない。いや、また、岩本の仕業に見せかけるなんて事をするかもしれない)
白倉は冷や汗をかいていた。彼は「トイレに行かせてほしい」と言って幹部室を出てトイレに向かう。2階のトイレの窓の真下に、自転車置場の屋根があった。白倉は顔をひきつらせると屋根に飛び降りた。そして駐車場に停車している自分の白の高級車の鍵を入れると、そのまま車を急発進させた。
「お前ら、奴隷の癖に舐めやがって、後悔させてやる」
車を運転する白倉の笑顔は壊れていた。

「これが裁判の記録だね」
と瑠奈は視聴覚室のPC画面を見つめる。
「ぁぁ、字がぁ字がぁ」と苦悶する勝馬の前で、千尋は「これ、どこから読めばいいのかねぇ」とため息をついた。
「都が調べて欲しいと言った重要な部分は。裁判で指紋とかがどのように証拠として採用されたのかを見て欲しいって」
瑠奈はPC画面を見つめた。
千尋、悪いけど私の背中を撫でてくれる?」
瑠奈はPC画面の絵を見ながら真剣な声で言った。PC画面には「被害者Aを脅迫」「被害者の乳首を」「苦しむ被害を強引に」という文字が流れていく。
「わかった」千尋は言って瑠奈の背中を撫でた。勝馬はその様子を呆然と見つめた。瑠奈は冷静に音読した。
「被害者の身体、衣服、犯行現場からは犯人の指紋が一切検出されず、指紋による犯人特定は不可能であると考えられる。しかし被告が逮捕直前に証拠隠滅目的で故意に指紋、掌紋を消す目的で両手をホットプレートに押し当てている点、被告が犯人であると被害者3人が証言している点、残り1人の事案では現行犯逮捕がなされている点を鑑みて、総合的に被告が犯人と断定可能である」
「つまり、その八木正平って犯人は指紋がなかったって事?」
千尋が唖然とする。
「指紋を消すために手のひらをホットプレートに押し当てて指紋を消すなんて、痛すぎるでしょ」
勝馬がぎょへーとばかりに体を震わせる。
「これって、まさか冤罪って事」
千尋
「八木正平って人が犯人なのは間違いないと思うよ。被害者が3人も証言しているし、岩本が殺して成り代わっているから」
瑠奈は画面を見つめた。その時だった。突然本がバサッと落ちる音がした。
「いやっ、いやっ」
ひきつった声をあげて呆然と立っている少女。茶髪でウェーブが入っていた一年生の少女が呆然と立っていた。パンストと上履きの間に水溜まりが出来ている。
「ちょっと、メル、大丈夫?」
メルの友人がびっくりしたようにメルを揺する。メルは顔を真っ赤にして震えていた。涙がぼろぼろ出ていた。
 北谷勝馬は立ち上がった。そのガン飛ばしにメルとその友人は後ずさりする。勝馬はその床の水溜まりにグカッと胡座をかいて座り込んだ。
「か、勝馬さん」
板倉が声をかける。勝馬は突然「ああ、俺とあろうものが字にやられてお漏らししちまうなんて」とため息をついた。板倉は一瞬ポカンとしたが、「あ、まあ、そんな日もありますって」とフォローした。勝馬は板倉をぶんと見つめ、メルを指差した。
「この方はお漏らしした俺を助けようとして汚れてしまったお人だ。丁重に保健室に連れていくように」
「御意」板倉は勝馬のオトコギに頭を下げる。
「あ、私が連れていくよ」
瑠奈は笑顔で言った。
「女の子の方がいいしね」
千尋。メルを進路指導室から連れ出し、振り返り様に勝馬にぐっと親指を立て笑った。

 保健室で横になったメルに瑠奈は笑顔で「私たちが変なの調べてたせいかな」と笑顔で聞くと、メルは布団から目だけ出しながら「あの事件、何で調べてるの?」と聞いた。
「今ニュースでやっている、あの岩本の事件の解決になるかもしれないって、私の友達が」
瑠奈がにっこり笑った。メルはしばらく考えていたが、「その事件」といいかけて友人の少女が「メル」というのを「大丈夫、ひなび」と制して体を起こすと、瑠奈と千尋に向かって「私、被害者の一人なの」とはっきりと言った。


8

 島都と結城竜は第二の事件があった朝倉社長のマンションに来ていた。
「八木久光さんの事は長川警部に任せて、私たちはこの事件の謎を解き明かさないといけないんだよ」
都は言った。
「その謎というのは、岩本がここでの殺しを3時間も待った理由だな」
「うん」
都は頷いた。
「さて、どうやって入り込もう」
セキュリティーの前で都が思案していると、「ダメよ、部外者は立ち入り禁止」と買い物袋を持った大きなおばさんが立っていた。
「殺人現場にだって、人は住んでいるの。あなた中学生でしょう」
「あー、俺たちは野次馬ではなくて、この事件を担当した警部の知り合いで」
と結城が言う横で「現場に隣の部屋に住んでいる佐竹文子さんですよね」と都は笑った。
「今あそこの郵便受けを見てました。おばさんは暗がりの中で若い女の人と一緒に岩本君がベランダから逃げていくのを目撃したんですよね、専業主婦…ではなくジャーナリストの佐竹文子さん」
と都は佐竹文子の前に立った。佐竹の顔が驚愕する。都は畳み掛けた。
「おばさんは1年前に引っ越してきたのに、2年前に亡くなった南唯さんの事を知っていた。朝倉社長の隣の部屋を借りて、朝倉と警察がしていた悪いことを暴こうとしていたんですよね。私、いろんな事件で警察に事情聴取しているんですけど、県警本部であなたを二回見ています。あと貴方も私を最初から知っていましたよね。結城君みたいにゴツくて怖い顔の男の子2いるのに、私の事を中学生に見えるってすっとぼけたのが証拠です」
「さすが、女子高生探偵島都さんね」
と佐竹はニヤリと笑った。

 佐竹の部屋で大宮なつはがコーヒーを入れてくれた。
「彼女、あの社長に天涯孤独にされて、今私の助手としていてもらっているの」
佐竹は都と結城をダイニングに座らせ茶菓子を薦めた。
「やはり貴方としては、岩本が朝倉を殺したあとで三時間何をしていたのか気になるのよね」
「はい」
都は頷いた。佐竹はコーヒーを啜りながら、「岩本はその空白の三時間、部屋にいなかったわ」と断言した。
「本当ですか?」と結城。
「警察は信用できないから喋らなかったけど、私はあの家に出入りする人間は外廊下の三輪車に仕掛けたカメラで監視しているからね。岩本は朝倉の死亡推定時刻に一度八木正平の姿でやって来て、そのあと一度退出。その後別の人間の姿で再度やって来て、その後私たちに発見されている」
ノートPCの画面を見せられて、都と結城は目をぱちくりさせた。
「だが八木正平の姿をした奴がこのマンションを出た痕跡はないわけだし」
という結城に「定石としてはマンションの敷地内で変装を変えたと見るべきだけど、その理由がわからないわね」と佐竹。都は目をぽっかり見開いた。その時都のスマホが鳴った。
「あ、瑠奈ちん」
都が声を出すと、瑠奈は用件を早々に伝えてきた。かなり興奮している。
ー都が調べて欲しいと言われた話、都の言う通りだった。八木正平には指紋がなかったみたい。それとここから重要な話なんだけど、あくまで都の捜査に役立てる感じで、誰かに言ったりはしないで欲しいんだけど。
 瑠奈の話に都の目が見開かれた。彼女の中ですべての線が繋がった。彼女は立ち上がった。

 ニュータウンの街中を走るミニパト。そのミニパトに白い高級車が手を上げて停止を求めた。ミニパトもそれに合わせて路肩に停車する。高級車から警察手帳を掲げた警視が、二人の婦警に「本庁警視の白倉だ」と走ってきた。
「重要な捜査に必要だ。こいつを借りるぞ」
呆気にとられる婦警。彼女らにとり本庁の警視など雲の上の存在だ。婦警はあわてて敬礼し、白倉を見送った。

 都はマンション管理人室で「こんにちはー」と笑顔で声をあげた。
「長川警部のお使いなんですが」
「長川、あああの女警部の」
管理人の下条が出迎えると、「島都です」と都はびしりと敬礼した
「でも君、中学生と高校生とかだよね」
下条が訝しげに聞くと、「高校生です」と都は頬を膨らませた。
「俺たち、長川警部とはマブダチなんですよ」
と結城が千尋と長川がBL談義しているLINEを見せる。酔っ払った長川がキッチンのカウンターでゼレンスキーピアノしている動画付きだ。
「…」下条は複雑な表情をしつつも一応信じたらしい。
「用件は」
「はーい」都がゲンキンな返事をした。
「防犯カメラの映像を見せて下さーい」
「防犯カメラの映像っていっても、全部警察に持っていかれちゃったよ」
下条が申し訳なさそうに言うと「そうだぞ」と結城は合いの手を出す。
「警察に行けば見せてもらえるだろう」
「ううん、私が見たいのは」
都は下条にある映像を見せてくれるように依頼した。

「どうなっていやがるんだ」
結城はマンション中庭のベンチに都と座りながらため息をついた所だった。
「あの防犯カメラの映像」
結城はため息をついた。その時都のスマホが鳴った。
「長川警部だ」都はスマホに出た。長川の切羽詰まった声が聞こえてきた。
ーー都、一応お前にも伝えておく、白倉一馬が消えた。
「わかった」
都は言った。
「それより警部。今から私の推理を話すから聞いてくれる?」
都は電話で話した。
「この事件の謎が全てわかったから」
ーーな、何だと。
都が電話越しに長川に真相を話すのを結城は呆然と聞いていた。彼の目は驚愕に見開かれた。
「そんな、そんな馬鹿な」
結城が思わず大声を出した。都は電話を耳に当てたまま、結城を見つめた。そして言った。
「これが真実だという証拠を結城君はさっき防犯カメラで一緒に見ているよ」
結城の目が見開かれた。
「とにかく、最後の殺人を止めないと」
都は考え込んだ。
ーーとにかく、パトカーを一台お前のいるマンションに寄越してやる。何か聞きたいことがあれば電話しろ。
長川はそう言って電話を切った。
 マンションの前に出てきた都と結城。すると一台のミニパトがサイレンを鳴らして停車した。
「長川警部に言われて派遣されました」
スピーカーからの声に都はふと立ち止まった。
「早いな」
結城がパトカーに近づこうとするが、都は裾を引っ張り止めた。
「都、どうした」
都の表情が明らかに怖がっているのに気がついた結城はミニパト見つめた。
「都、マンションに戻れ」
そう言った直後、ミニパトが急発進をした。
「都!」
結城が都を突き飛ばした直後に結城の体がボンネットに乗り上げ、マンションの植え込みに反動で飛ばされた。
仰向けに倒されれた都の目が見開かれる。
「結城君!」
立ち上がろうとした都の後頭部が強打された。昏倒した都を好色な目で見下ろす白倉一馬警視。

「お兄ちゃん、お兄ちゃん」
号泣する秋菜の顔がうっすら見える。結城の頭は次第に覚醒し次の瞬間飛び起きていた。
「都!」
病室だった。窓の外は夜になっている。
「結城君!」瑠奈が押し止める。
「結城君、君は左足骨折、腰の骨にもヒビが入っている。頭とかは植え込みで助かったけど、危なかったんだから」
「都は」
結城は瑠奈にすがり付く結城。
「長川警部と勝馬君が探している。もっとも勝馬君は無関係なミニパトに喧嘩売ってパクられたけど」
「馬鹿な野郎だ」結城は激痛の中で呻いた。
「友達が現職の警官に殺されかけ、誘拐された上での緊急行動ってことで酌量はしてもらえるらしいよ」
瑠奈が言うと結城は「あいつは性犯罪者だ」とうわ言のように言った。
「わかってる」瑠奈は結城を抱き締めた。
「都を誘拐した犯人は連続性的暴行事件の真犯人。被害者の子から聞いたよ。警察署の会議室で調書を取りに行ったら、自分に性的暴行を加えた人間が警察幹部の制服を着ていて、大勢の警官を従えて座っていたって。そしてその子は脅されて八木正平を犯人だと証言するように強要されたって。他の偉い警察官もそれに同調していて、あの子は怖くて言う通りにするしかなかったみたい」
瑠奈は声を震わせた。結城を強く抱く。
「そんな人に都は誘拐された。でも今は信じよ。長川警部は都を見つけてくれる。結城君、ありがと。都の命を助けてくれて」
瑠奈に抱き締められ、結城は項垂れるしかなかった。