少女探偵島都 2018年

2009年くらいから母親が書いていたシリーズ設定をもったいないので2018年より本格的にわいが引き継いでみました。大体1記事でアニメ1話分くらいの長さだと思ってください。コナンや金田一みたいな高校生探偵ミステリーを想定しています。

死神タワー殺人事件❸

 

5

 

【容疑者】

・益田愛(15)高校生

・姫川瑠偉(22)スイミングインストラクター

・萱野厚樹(51)萱野産業社長

・香川哲(50)萱野産業役員

・岩本承平(20)萱野産業従業員

・野田武(26)ライフセイバー(どうでもいいけどあんた苗字変わってない?)

・小山理恵(54)パート従業員

・ヒゲヒグマ恩田(43)エアロビクスインストラクター

・宮崎新(38)マンション管理人

 

-翌日。気温は35度を超えた。

「ええ、長川警部の先輩?」

と都がTシャツ姿でクーラーの効いた軽自動車の中で素っ頓狂な声を上げる。

「ああ、小山理恵の母親に話しを聞く前に、彼女の娘さんが死亡した事件について調べた刑事に話しを聞こうと思ってな」

 長川が車を走らせる大通りの真ん中の高架を新交通システムの車両が通り過ぎる。両側は団地で大通り沿いにはコンビニやマックやTSUTAYAが出店している。

「少なくとも殺された萱野は1年前に死亡した女性に関与している事が分かった。今都が膝に乗せている資料に詳細が載っているよ」

と長川。

「おいおい、見ていいのかよ」

と結城がリアシートから声を出す。

「駄目に決まっているだろ。ただ暑くて風を入れる必要がある時、捜査資料がめくれちゃうことはあるかもな」

と長川は言った。

「風さんのエッチ」

都はそう言いながら捜査資料をめくる。そこには高校の制服姿の若くてかわいらしい女性の写真があった。

「小山理沙。死亡当時20歳だ。取引先のトラブルの挙句にその会社の倉庫で首吊り自殺。それを担当したのが私の先輩の鷺沼警部補だ」

ハンドルを握りながらAGTの高架下をくぐって未来的な外観の警察署に車を回す長川警部。

 

「先輩」

長川警部が刑事課のオフィスで声をかける。

特徴的な外観の新しいオフィスの主任席でドーム状のコンベンションセンターが見える窓をバックにデスクワークをする白い覆面の男が急に顔を上げた。

「うわぁあああーーー。犯人がいた」

長川警部の背後で都は素っ頓狂な声をあげて結城にしがみついた。

「おい」と結城が慌てるが、「ははは、高層ビルのベランダに現れた仮面の殺人鬼だろう」

スーツ姿のゴムマスクの警部補が顔を上げる。

「君の噂は知っているよ。茨城の警察官なら誰もがな」

ゴムマスクの警部補鷺沼淳司(60)は笑顔できょとんとする都に握手した。

「最も俺は来月で定年になって警察官ではなくなるのだが」

「お疲れさまでした」

と長川は頭を下げた。

「で、長川。俺に何の用だ」

「実は1年前に会社の物流倉庫で首つり自殺をした小山理沙さんの事件を調べて居まして」

「あの事件で彼女をきつく叱った取引先の社長がショッピングモールタワーで死んだ萱野厚樹だろう」

と鷺沼は言った。

「事件の動機にあの事件があると考えているのか」

鷺沼の質問に長川は「あの事件はわからないことだらけですから」と言った。

「ただ昨日のスポーツセンターに小山理沙の母親の小山理恵がいたのが気になるんです。もし今回の事件が小山理沙の復讐だとしたら、第二の被害者が出る可能性はありますからね」

「あの事件は他殺だったと」

鷺沼が長川に聞くと長川は手を振った。

「いや、資料を拝見した限りでは被害者の直筆の遺書が出ていますから。それは彼女の自宅から発見された友人へのメッセージカードと筆跡が一致していますから、自殺であるとは思っていますが。彼女を萱野が自殺に追い込んだと考えている人間がいたとしてもおかしくはないですからね」

「あの」

都が突然メモ帳を取り出してかわいいデザインのシャーペンを渡す。熊さんのイラストが入ったページを開いて「サインください」と都がモジモジ。

「え」

鷺沼がぎょとんとした顔をする。都はモジモジしながら言った。

「警察24時見ていてゴムマスク刑事のファンでした」

結城と長川がずるっと崩れ落ちる。

「あ、これは嬉しいな。リーゼント刑事とか番長刑事とかが人気だと思っていたんだけど」

鷺沼は幾分照れながらサインをした。

「番長刑事はこの前痴漢で捕まっていましたけどね」

長川警部はボソッと呟く。

「嬉しい。ありがとうございます」都はそれを胸に抱いて「わーい」と結城に見せびらかした。

 その時だった。

「鷺沼警部補。迎えに来ました」

どんくさそうなデブが刑事課のカウンターの前で頭を下げた。その顔を見て長川は驚愕した。岩本承平だった。愚鈍なそれでも一応殺人事件の関係者が刑事課のオフィスに出入りしていた。

「おい! 今来客中だぞ」

鷺沼が慌てる。

「す、すいません」と岩本がぶひっと頭を下げる。

「それで、香川さんがお呼びです」

「下で待っていろ」

鷺沼はため息をついて岩本を下がらせる。

「わかりましたぁ」

岩本は振り返り、都にどんとぶつかった。

「ああ、ごめんねぇ」

ひっくり返った都のメモ帳とペンを拾い上げて、そして倒れている都の体を見て、ぶよぶよした口で好色そうに笑う岩本。その意味が都にはわからずきょとんとしている。都のハーフパンツを見つめて「へっへへへ」と笑う岩本にようやく気が付いた長川が「お前、どこを見ているんだ」と凄んだ。

「ひっ」岩本は体をびくぅとさせ、そのまま走り去って言った。

「鷺沼さん。ここにあいつが出入りしているのは、あなたの権限ですか」

長川が言うと、鷺沼はゆっくりとゴムマスクを外した。その崩れたぐしゃぐしゃな顔に結城も長川も息をのむ。鷺沼は血に染まったゴムマスクを長川に握らせた。

「ヤーに硫酸ぶっかけられてこんな女も寄ってくれない顔にされてな。それで警察の待遇だけじゃやってられなくなるんだよ」

鷺沼は呆然としている長川からゴムマスクを受け取った。長川はゴムマスクを着用した鷺沼とオフィスで見て見ぬふりをする刑事たちを見つめた。

「退職金貰ったら、奢ってやるよ。お嬢さん。せっかくファンになってくれたのに、失望させて悪かったな」

鷺沼は笑って歩き去った。長川は黙ってそれを見ていた。

 

 長川は黙って車を走らせていた。車は夕暮れの大通りを走っていた。会議場や真新しいビルが通り過ぎていく。

「あー」

バツの悪そうな顔で結城は頭を掻いた。

「都、お前警察24時見ていたんだな。ファンになるくらい」

「全然ファンじゃないよ」

都は真っすぐ前のハイブリットバスのケツを見ながら言った。信号でコンビニ前の横断歩道から歩行者が渡る。

「あー、だな」と結城が言葉を見つけられないでいると

「だって私は月光刑事とナスビ刑事のファンだもん」

と自分のメモを見せた。

「このメモの文字、さっきエッチな風で見た小山理沙さんの遺書とレターの文字と似ていると思うんだけど」

「何」

長川の表情が驚愕した。

「警部。青」結城が正面を示した。車が発車する。

「あの鷺沼って警部補。小山理沙さんの死を自殺に見せかける工作を警察の立場を使ってやっていたんだよ」

都ははっきり言った。

「鷺沼って人が昨日の事件の時にどこにいたのかとか、チェックした方がいいよね」

都はそう言いながらふとハンドルをトントンする長川の指を見た。

「警部、血」

「鷺沼の血だよ。マスク渡された時についたんだ」

長川はため息をついた。

「くそ、洗い忘れた」長川の声は小さく寂しげだった。

 

スタジアムのVIPルームのソファーに1人座る若い女性。部屋に入ってきた鷺沼の姿を認めた姫川瑠偉は立ち上がって頭を下げた。

「何だよ。香川は来ていないのかよ」

鷺沼はゴムマスク姿でため息をつき、「携帯も繋がらねぇし、おい岩本。香川の家に行ってこい」と命令した。

「はいっ」

岩本は頭を下げるとぶひぶひ慌ててレストランを出る。

「全く試合が終わってしまうぞ」

VIPルームからサッカーリーグのFCチームの快進撃を見ながらゴムマスクの男はため息をつく。

「鷺沼先生」

瑠偉は震える声で言った。

「今日は私が全部やりますから。愛理は許してください」

「嫌だよ」

鷺沼は言った。

「大丈夫。あと2年もすれば愛理ちゃんは俺の興味からは外れるからさ。ひっひっひ」

ゴムマスクの向こうの目が醜悪に歪み、瑠偉に目を見開いた。」

 

 パトカーは住宅局の巨大団地の商業施設の駐車場に停車した。SEVEN-ELEVENやマクドナルド、ケンタッキーなどが並んでいる1階部分から住居棟のエレベーターに乗り込み、20階で降りて共有廊下を歩く。高層アパート前の高架を自動運転のAGTが通り過ぎていく。長川は「小山」の文字を確認後チャイムを押す。反応はない。

「電機は付いているようだが」

結城はすりガラスの向こうを見る。蛍光灯は中で照っているようだ。

「君たち、小山さんの知り合いかい」

と背広姿の眼鏡の男性と管理人が後ろから声をかける。長川は警察手帳を提示した。

「け、警察」と眼鏡の男性は驚愕した。

「いや、小山さんが何かやったわけではないです」長川が説明すると眼鏡の男性は

生活保護担当官の田辺です。今日お伺いする約束をしていたのですが、反応がなくて」

長川、結城、都は顔を見合わせ、緊張した。

「な、なんかヤバいパターン想像しちまうんだが」

結城は声を震わせると「と、とにかく管理人さんお願いします」と田辺は管理人を急かした。ドアを開けるとモアっと熱い空気が都たちを襲った。都は素早くゴミだらけのキッチンを通ってリビングに行くと、中年女性が仏壇の前で倒れていた。

「ううう」小山理恵は呻いていた。

熱中症だよ。結城君服を脱がすのを手伝って。」長川警部はクーラーつけて」

都は叫んだ。

「何てこと。冷房費はケチらないように言ったじゃないですか」

田辺が困惑する中、仏壇には都が写真で見た若い女性、小山理沙の笑顔の写真があった。

 

6

 

「何? 救急車が出張らっている? わぁった。こっちで病院に搬送します」

長川はスマホを切った。管理人が「担架を持ってきました」と言い、全員で小山を担架に乗せ、結城と田辺が担架を運び出す。

「あれ」

結城は担架を運びながらふとアパートの前の高架で停車しているAGTを見つめた。

「何で停車しているんだ」

「結城君。早く早く」と都に言われて「お、おう」と結城は言ってからエレベーターに運んだ。そして長川の車に小山理恵を載せると都は「吐いたものが詰まらないか私見てる」と後ろの席に潜り込んだ。

「私を助手席に乗せてください」と民生委員の田辺が車に乗り込む。

「じゃぁ俺はこのまま帰るから」

結城がそう言うと、長川は「あ、ちょっと待て」と運転席から田辺越しに5000円札を渡した。

「AGT止まっているだろ。タクシーで帰りな」

「お、おう」結城は5000円を手にすると発車する車を見送った。スマホで時間確認しようとしたとき、着信が来ているのに気が付いた。千尋からだった。

「おう、薮原」

「結城君、AGT止まっちゃってさ。バイト先から私と結城君の浮気相手が帰れないから長川警部にアッシー頼めないか交渉してくれない? フェニックス通りのマックにいるからさ」

「ふざけんな。捜査協力だぞ」

結城は言ってから「と言いたいが、今いろいろあって俺一人タクシー代渡されたから乗せてやるぞ。丁度お前のいるM看板が遠くに見える場所にいるし」と言うと、「ヒャッホーハラショー」と電話が切れた。

 

 マックのJKと2人でテーブルに座る結城。

「ありがとね。結城君」と益田愛(15)が笑顔で申し訳なさそうに言った。

「別に大丈夫だ」

結城はポテトをかじる。

「それに殺人事件のせいでなかなか瑠偉さんとかの件が進まなくて申し訳ない」

「いいよ。殺人事件が解決しないと瑠偉お姉ちゃんが次の被害者になったりしたら嫌だし。それにこの事件できっとあの社長さんとかが何をしていたのかわかると思うから」

と愛は優しく笑った。結城はふと聞いた。

「瑠偉さんには妹がいたんだよな。確か俺らと同い年の愛理さんだっけ。で、両親があの社長たちに心酔したか何かで、愛理さんとは会えなくなってしまったと」

「うん。それで今日の事があったからちょっと心配になっちゃって」

愛は声が沈んでいた。

 その時、千尋スマホが鳴った。

「あ、瑠奈だ。どうした。勝馬君がプールセンターでドザエモンになったから戒名考えて欲しいとか?」

千尋コンベンションセンターのAGT駅にいるんだけど、今暇?」

 

「ぶおぐええええええええ」

勝馬がSEVEN-ELEVENのゴミ箱のその他のゴミに顔を突っ込んで吐きまわっている。

「大丈夫か。お前の頭その他のゴミになっているぞ」

結城が言うと「笑いたければ笑え」と勝馬はゴミ箱の中で叫んだ。

「いや、別に笑わねえけどよ。高野もげっそりしているし」

バス停のベンチで座り込んでいる瑠奈を益田愛が介抱する。

「人身事故らしいよね」千尋はパトカーや消防車、救急車を見て言った。

「人身事故?」結城は訝し気だ。

「AGTは全区間高架化されているし、駅も全部フルスクリーンドアでがっちり守られているだろう。人間が落っこちるのも飛び込むのも不可能だぜ」

「いや、本当に人が轢かれるのを見ちゃったんだ」

勝馬がSEVEN-ELEVENのゴミ箱から顔をあげて、イートインコーナーでタピオカ食べていたJCがガラス越しにその顔を見て悲鳴をあげて泣き叫ぶ。

「2人で一番前の運転手のいないパノラマ窓からビルとか見ていたんだけど」

瑠奈がバス停のベンチに座って体を震わせた。

「そうしたら人が案内システムの上に倒れていて、そのまま車両の下に巻き込まれて、車両の下から人の悲鳴が聞こえて…非常ボタンを押したんだけど止まらなくて、そのまま駅まで」

瑠奈は顔を押さえて泣き出した。結城はため息をつく。

 その時、AGT駅の高架下道路に見慣れた車が停車した。島都と長川警部が降り立つ。

「お帰り」結城は2人のレディの所に歩いて行こうとする。だが瑠奈が止めた。

「結城君。ちょっと待って」

彼女は苦しそうな表情で結城を見た。

「話したい事があるんだ」

 

「か、感電とかしないよな」

新交通システムの経路上の高架上でマクドナルドや吉野家FamilyMartTSUTAYAの看板や、高層アパート、コンベンションセンターのドームなどをバックに結城はおっかなびっくり歩く。

「大丈夫ですよ。電源は切ってありますから」

交通局の人間はそういった。

「被害者が置かれていたのはスタジアム駅から徒歩5分程度の作業員が利用する階段です」

警官が複線の反対側の経路を指さす。コンクリートの経路の一点から血と肉片の絨毯が貼るか向こうのドーム状のシェルターの青くライトアップされた駅まで続いている。

「あっちがコンベンションセンター駅か」

結城は戦慄しながら言った。

「被害者は生きたまま600メートル引きずられ死亡しています。顔の半分がなくなっていました」

「何で非常ボタンがあるのに停車しないんだ」

結城は交通局の人間を睨みつける。

「勿論前の電車に追突しないように制御システム、自動管制システムは別にありますが、そもそも新交通システムは人が線路に立ち入らない前提に作られているんですよ。だからホームドアも設置されているし、高架化されているんです。だから無人運転が出来るんです。あのボタンはあくまで無差別犯やテロリスト、火災などが発生したときの為に、全ての車両を駅に安全に止めるシステムなんです」

「つまり、人を轢いたとしても止まらないと」

と結城。

「センサーとかはないですか」と長川が聞くと「いえ、ペットボトルを投げ込むいたずらがあったため、センサーは作動させていませんでした」と交通局の人はもにょっていた。

国交省に怒られるぞ」長川はため息をついた。

「しかしひでぇ事をするな。生きたまま縛り上げて新交通システムの経路において轢かせるとか」

長川は怒りに震えていた。

「さっき高野さんに話を聞いたよ。防犯カメラも確認したが、岩本が乗っていたらしいな」

「ああ」

結城はため息をついた。

勝馬の話だと『次は俺だー』とか言って駅到着後に降りて行ったらしい。だが奴には殺人は無理だろ」

「いや」長川は頭を掻く。

「この路線はこの時間は10分に1本の運転だ。従業員階段があった被害者が置かれていた場所はスタジアム駅から徒歩5分。あの岩本も防犯カメラの映像からしてスタジアム駅の改札を通っているし、スタジアム駅からAGTに乗っている。ますます怪しいな。最も真犯人ならわざわざ電車には乗らないと思うし、真犯人に呼び出された可能性もある。問題は被害者は誰かだ。奴とは無関係の人間だった場合、スポーツセンターの事件とは無関係の事件という可能性もあるからな」

長川は言った。その時コンベンションセンター駅の方から鈴木刑事が走ってきた。

「警部。死体を車両の下から出すことに成功しました」

「ご苦労」長川は鈴木についていき、都、結城も後を追う。

「やっぱり見るのか」結城は真剣な目の都を見つめてため息をついた。

 

 死体はスタジアム駅のスクリーンドアの前に停車するAGTの横のゴムタイヤ通路のコンクリートの上に置かれていた。酷くねじれていて、右腕がちぎれてしまって、ブルーシートが血の海になっている。

「結城君」

都は死体をじっと見つめた。

「香川さんだ」

頭は半分なくなっているが、昨日の聴取の際の白くて下品なスーツ、禿げ頭などは間違いない。

「となるとやっぱり昨日のスポーツセンターの殺人と同一人物の仕業か」

結城の言葉に都は「うん」と答えた。

「そして岩本さんは犯人かも知れないけど、犯人が狙っている次の犠牲者かもしれない」

都は考え込んだ。

「絶対に早く確保しなくちゃいけないって事だな」

長川は決意に満ちた表情で停車する新交通車両の前で都を見つめた。

 

 巨大団地の屋上に隠れる岩本承平は頭を抱えて思い出していた。自分が小川理沙の首吊り死体を得意げに瑠偉と愛理姉妹を得意げに見せて2人を恐怖させている姿を。そして頭を抱えガタガタ震えていた。

 殺人者はその時、既に岩本の背後にいた。その思念は「最後の一人だ。お前が最後の生贄になるんだ」と邪悪に笑っていた。岩本の顔の前に刃物が付きつけられた。岩本の目が見開かれた瞬間、その刃物は岩本を切り裂いていた。