死神タワー殺人事件❷
3
【容疑者】
- 益田愛(15)高校1年生
- 姫川瑠偉(22)インストラクター
- 姫川愛理(15)
- 萱野厚樹(51)萱野産業経営者
- 香川哲(50)萱野産業役員
- 岩本承平(20)萱野産業従業員
- 野田武(26)ライフセイバー
- 小山理恵(54)パート
- ヒゲヒグマ恩田(43)エアロビインストラクター
パトカーがAGTの高架下をくぐり、夜のきらびやかなバスターミナル前に停車。警察官が次々下車してショッピングモールに入っていく。警官がアパレル店や化粧品店の前を走り抜けていくのを買い物客が見つめていました。命綱をつけた警察官がガラスの天井から死体を回収する。
「酷い死体だな」
死体が安置された高層マンションの休憩スペースのシートの上。長川朋美警部はため息をついた。
「顔はぐちゃぐちゃだが、この特徴的なレゲェと服装。タワマンの住民なら目立つだろう。聞き込みを頼む」
長川は部下の鈴木と西野に言ってから、「これは絶対に自殺じゃないからな」と死体を見回した。
「どうして自殺じゃないの?」
背後からTシャツにハーフパンツの都が長川の肩越しに死体を覗き込む。
「ああ、腰に縄が結わえてあるだろ。それに手が後ろ手に縛られている。どう見たって本人がこういう縛り方を自分の両手首にやるのは不可能だ…って」
長川は小柄なっ女子高生探偵を見てびっくり仰天する。
「何でいるんだよ」
「だって瑠奈ちんが第一発見者で、私は第二発見者だったんだもん」
と都は長川の前で「いえーい」して見せ、長川は頭を抱えた。結城が背後でため息をついた。
「直前にものすごい音がプールにしたし、多分この人はこのプールの天井にタワーマンションの上から突き落とされたんだね」
都が死体をしげしげと見る横で長川はため息をついた。
「高低差は100メートル近くはあった。おかげで顔面がぐちゃぐちゃだよ。だがレゲェの髪型が特徴的だな」
「そのレゲェの人、私知っているよ!」
と都が言った。長川が「何」とビックらこいた。
「スイミングインストラクターの姫川瑠偉先生に絡んでいたんだ。死体が落ちてくる30分くらい前にな。その姫川って人に対して、こいつは何かやらかしているぜ」
結城は長川に助言した。
「でも姫川さんにはアリバイがあると思うよ」都は言った。
「だってこの人が落ちてくる1時間前には私と一緒にプールにいたから」
塩素の匂いを嗅ぐ鷲ながら長川の横にしゃがむ女子高生探偵。「最も」
都はシートの上にばらけたロープの先端の焦げ目を見つめた。
「そんなアリバイ…何の意味もないとは思うけど」
その時鈴木が長川のところに来て敬礼した。
「管理人に確認が取れました。レゲェ風の男、このマンションの26階に住んでいる萱野厚樹という人物のようです」
管理人に鍵を貰って開ける長川警部。
「一応犯人がいるかもしれないからな」
長川は拳銃を手にした部下に指で合図して突入を命じた。ドアが開けられる。突然風が入ってきた。ベランダの窓が開いているのだ。カーテンがふわりと浮き上がる。
その時目の前の廊下には奇妙なものがあった。火のついたままの蝋燭が皿の上に立てられフローリングの上に置かれている。さらにリビングの柱に厳重に固定されたロープの先端が蝋燭の場所まで伸びていて、ロープが焼き切れた痕跡があった。
「こいつを写真に撮ってくれ。時間がわかる形で」
長川は鑑識にそう命じた。友人で鑑識の加隈真理は写真を数枚とってから「これは長さ16㎝くらいのタイプの🕯。火をつけられてから90分と言った感じだね」と溶け堕ちた蝋を見ながら火を消した。
「って事は犯人は死体が落ちてくる20分30分前にこの仕掛けを仕掛けたって事か」
長川はカーテンを押しのけてベランダを確認しながら言った。
「んだ」牛乳瓶眼鏡の加隈真理は「蝋燭でロープが切れて、被害者が落下。雑なアリバイ工作だね」とケケケと笑う。
「でも変だな―」
と都が長川の背後で考え込んだ。少女探偵島都がフローリング床の上のロープをじっと見ながら言った。
「アリバイ工作をした犯人がこんな証拠を残しておくかな」
「それはだね、都ちゃん」加隈が眼鏡をキラーンさせる。
「犯人はこれらの証拠を後で回収するつもりだった。でも死体がプール天井に落下したとき物凄い音がして、死体が早くに発見されてしまった。だから犯人はこれらの証拠を回収する暇がなかったのだよ」
と加隈。
「なるほどー」都は考え込む。
「それと簡易的な検視なんだけどね」加隈は長川に報告する。
「被害者は落下によって死んでいる。つまり落っこちる前までは生きていたんだ。死亡推定時刻も瑠奈ちゃんと都ちゃんが見つけてから数分もたっていないはず」
「つまり犯人は死亡推定時刻にアリバイを作ることで疑いを晴らそうとしている」
長川は加隈を見た。だが直後リビングで島都が緊張した声で言った。
「ねぇ長川警部。あれ、何かな」
都が指さした方向。テーブルに無造作に置かれているもの。鍵だった。
「これって部屋の鍵じゃないかな」
都の声が震える。
「ちょっと待て。まさか犯人は逃げる暇がなくてまだこの中にいるじゃ」
長川は所轄警官に命じた。
「探せ。和室の押し入れの中とか、クローゼットとか」
「り、了解」
警察官は慌てて和室を開ける。
「いたか」と押し入れに頭を突っ込んでいる警官に鈴木が聞くが、警官は「いえ、いません」と返答する。
「鈴木刑事」
寝室のクローゼットを開けた所轄刑事が突然大声を上げた。
「どうした」
長川が寝室のクローゼットの前に立っている警察官に声をかけると、「こ、これを見てください」と若い警官がクローゼットを指さした。
クローゼットの中には黒いマントと真っ白な仮面が無造作に放り込まれていた。
「な、なんだこの仮面は」
長川は声を震わせる。
「警部…このマンションの部屋を一通り探しましたが、我々以外に侵入者はいません」
と長川の背後から西野刑事が報告する。長川は玄関に出ると、入口に待機させた警官に「誰か出入りした人間はいるか」と問うと、共用廊下に立っていた警官2人は首を振った。
「ちょっと待ってねー」
と加隈鑑識が都が見つけた鍵を管理人の宮崎新(38)の前で玄関のカギ穴に差し込む。鍵は奥まで入り、開けたドアの錠前がガチャリと変化した。
「これは困ったね」
加隈は言った。
「管理人さん。この鍵は複製は作れる?」
「マンションの管理室に複製がありますが出し入れするとセンサーが反応します。それにこれは電子キーですから複製は不可能です」
と宮崎は加隈に言う。
「となるとこれは」
と長川の声が戦慄する。
「密室殺人」
都が静かに言った。
「でもそのトリックは私が推理しなくてもいいかもしれないよ」
と都はそう言って長川、加隈、結城の前で天井に向かって指を指示した。指さした先には監視カメラがあった。
「なるほど。犯人がどんなトリックを使ったにせよ。ここに全てが映り込んでいるって訳だな」
長川は不敵に笑った。
宮崎がいつも待機している管理人室。宮崎は防犯カメラの映像をチェックした。
「18時00分には萱野って奴は確実にプールサイドにいた」
結城は長川に言った。
「そこから奴が落下する18時30分までの間をチェックすればいいわけだな」
長川は防犯カメラの映像を早送りする。
「18時17分…」
長川は早送りを止めてちょっとだけ巻き戻した。
黒い影が廊下にやってくるのが見えた。その右手は襟首を掴まれぐったりしたレゲェの男、萱野厚樹が引きずられている。黒いマントの人物はゆっくりと手袋をした手で萱野の玄関に鍵を入れてドアを開ける。そして白い仮面が防犯カメラを見て不気味に笑った。都も結城も長川もぞくっとした。
「こ、こいつ」
長川は冷や汗を流しながら笑った。
「防犯カメラに気づいてやがる」
不気味な仮面の怪人は気絶した萱野を乱暴に引きずり込むとドアを閉めて中に消えた。ドアが閉まったまま時間が過ぎる。
「よし、出てこい。出てきてトリックを見せやがれ」
長川は言ったがいつまでたっても出てこない。そうしているうちに映像の時計は18時30分を過ぎてしまった。
「おいちょっと待てよ」結城が目を見開く。
「これじゃぁ蝋燭のトリックを仕掛けた意味がないじゃないか」
「どういう事だ」
長川は映像を早送りする。そして長川や警官、都や結城がぞろぞろ廊下に現れた。
「ちょっと待て。それじゃぁこの事件の犯人は萱野の部屋の中で忽然と姿を消したって事か」
長川は呆然とした。
「おい、都これってまさか」
結城が都を見る。都は深刻な表情で画面を見つめた。
「これは防犯カメラと鍵、2つの関門で守られた二重密室殺人だよ」
都は声を震わせた。
「に、二重密室殺人」
結城と長川が呆然とした表情で都を見る。
4
「二重密室殺人」
結城はタワーマンションの管理事務室のモニター画面の前で唖然とした。だが都はその椅子に座り込み、自分の肩を抱きしめた。
「おい、都」
結城が都に声をかけた。都は肩を震わせていた。
「大丈夫か」長川の声に都は頷いた。
「この映像を見るまで、私はあの部屋にあった蝋燭とロープはダミーだと思っていた。本当は別の階から被害者は投げ落とされてって思った。でも犯人は萱野さんをこの部屋に確実に連れ込んでいるし、部屋の中で蝋燭は私たちが入り込んだ時にまだ火がついていたんだよ。そして防犯カメラ映像で犯人は萱野さんの部屋に入って、そしてこの部屋から消えてしまったんだよ」
「犯人は萱野って奴本人じゃないのか」
結城は考え込んだ。
「あのマントと仮面を着用したあいつが萱野本人だったんだよ。それであのレゲェは人形…そして自殺したんじゃないか」
「それはないよ」
都は言った。
「だって萱野さんは両手を後ろ手にきつく縛られていた。しかもロープは部屋の柱にまかれていてしかも蝋燭が固定され、時間が来れば切れるようになっていた。そんな事自分自身で出来ると思う?」
結城は「ロープで逃げたんだ。ベランダから。ああ、それだとほどいてロープを回収できないか。それじゃぁ熊手みたいなので」と結城。
「それもないね」
と加隈がボードを手に管理人室のモニターの前に現れた。
「ベランダの手すりをチェックしたけど、熊手っぽいものでひっかかれた後も死体を固定していたと思われるロープの痕跡以外は確認出来なかった。それと」
加隈がソフトを手にすると、モニター室でノートPCを広げてソフトを入れた。
「実はこのタワーマンションの隣のビルにライブカメラのモニターが付いていてな。映像をスキャンして県警のAI技術で拡大したが」
加隈はPC画面を都や長川に見せる。
「あの気持ち悪い仮面の人物が部屋に入った直後、白い顔の人物がロープで縛られたレゲェの男をベランダの手すりに固定して部屋に引っ込んでいる。そして18時30分丁度にそれがベランダから落下」
「うわっ」
拡大映像のベランダがスキャンされ、そこに映し出された不気味な白い顔の人物に結城は絶句した。
「つまり、犯人は間違いなくこの萱野の部屋から萱野を落下させているんだよ」
加隈の笑顔もさすがに引きつっていた。
「ちょっと待て。それじゃぁ犯人は防犯カメラ的に部屋に持ち込めないはずの萱野を部屋に連れ込んで、それを突き落とすトリックを実行した後、密室で煙のように消え失せたって訳か」
と結城。
「そしてライブカメラの映像からもわかるように、犯人はベランダから脱出もしていないんだよね」
と加隈。長川も「おいおい、冗談だろう」と絶句した。
「犯人はどうやってこの密室から消えたんだ」
「どうやってとかはどうでもいいよ」都は声を震わせた。
「何で犯人は消える必要があったの」
少女探偵を結城は見つめる。都は画面を見ながら譫言のように話を続けた。
「これだけの密室を作れた犯人が、萱野さんを自殺に見せかける事もしていない。事件現場に立ち入っているから、外部からのトリックじゃないから、そんな事出来ないはずないのに。自殺に見せかける事をしていれば、防犯カメラの映像で仮面の人間1人しか入っていない…部屋から誰も出る事が出来ていないという完全なトリックを仕込めている。つまり、完全密室の中で誰もが自殺だと思うしそうミスリードをすることが出来る。でも犯人はそれをしていない」
都は声を震わせた。
「なんかこの白い仮面の人からは今までの犯人とは違う凄い悪意を感じる」
都の声は震えていた。
スポーツクラブの横の会議室で警察は関係者に聴取をしていた。
「俺はずっとモール棟のクラブにいたよ。マスターも証言しているし、店の防犯カメラにも映っているよ」
香川哲(50)が煙草をふかしながらふんぞり返る。
「あんたの会社の社長が死んだのに、よく落ち着いていられるな」
長川が呆れて言うと、髭面の香川は「あっ? 俺を疑っているのか」とドスを効かせる。
「仲は悪かったらしいな」と長川。香川は「あのマスターか。しゃべり過ぎなんだよ」とため息をついた。
「あいつ、俺に世話になっておきながら俺に敬語使えとか調子乗ってやがるの。役員報酬もケチろうとしていたし。死ねとは思っていたよ。でも俺にはアリバイがあるだろう」
と香川はへらへら笑った。
「もう一つ質問に答えろ。お前姫川瑠偉さんの家族を搾取しているのは本当か」長川が香川の目をじっと見つめる。
「別に同意のうえでの関係だぜ。所轄の鷺沼って警部にそう認めてもらったぜ。何なら問い合わせて貰っても構わねえ」
香川はヘラヘラ笑った。
「僕が犯人だっていうつもりか」
デブの岩本承平(20)は金切り声をあげて立ち上がった。
「僕ちゃんが社長を殺すわけないだろう!」
「でもお前にはアリバイはないんだろう?」
と長川。岩本は真っ青になって悲鳴に近い声をあげて「僕は香川さんの奥さんを迎えに車に乗っていたんだ」と叫んだ。
「だが、防犯カメラの映像で近くの図書館前に違法駐車しているよな。1時間くらい。社長の奥さん、すっぽかされてカンカンだったぞ。お前社長に取り入るまでは随分酷い扱いを受けていたみたいじゃないか。暴力振われたり、ペットみたいに家で同居させられたり。そんな怖い社長の用事をすっぽかしてお前は何をしていた」
長川はテーブルを叩いた。
「お前は怪しいし動機もあるんだ。こっちは逮捕状請求できるんだ。お前が犯人で間違いないんだよ」
「違う違う違ううう」岩本は子供のように泣き出した。
「社長たちで殺した理沙ちゃんの母親が怪しい。あいつが絶対怪しいんだ」
「社長たちで殺した?」
と長川が訝しげに聞くが、岩本は口を押えた。
「こ、言葉のあやだよ」
岩本は声を震わせた。「取引先の会社の社員の理沙って奴が社会人としてダメだから、ちょっと社長がきつく言ったんだ。そしたら会社で首を吊って」
岩本は長川に食って掛かった。
「あいつの母親。社長をずっと見張っていた。あいつが殺したんだ」
「姫川瑠偉さん。貴方のお父さんとお母さんの連絡先を教えてくれませんか」
と長川は会議室で姫川瑠偉(22)インストラクターに答えた。
「言えません。父も母も萱野社長と香川さんにとてもよくしてもらっています。何も話す事はありません。私にはアリバイが成立しているんでしょう」
と瑠偉は言った。長川は頑なな瑠偉にため息をついた。
瑠偉は部屋を出てトイレに入った。鏡を見た。岩本のニチャニチャした笑顔を彼女は思い出した。
「じゃーん」
瑠偉の前で岩本は狂気の笑顔で若い女性の首吊り死体を披露した。
「みんなを連れて行こうとした女の子は首を吊っちゃいました」
香川や萱野社長の見ている前で岩本は狂ったようにお道化る。
「社長も、香川さんも、社長夫人も、みんなみんな悲しいです。みんなもこうならないように、頑張って社長に愛されようね」
瑠偉は妹の愛理を抱きしめ、恐怖で震えていた。それを思い出してトイレで崩れ落ちる姫川瑠偉。
「あいつは、姫川さんに蛭のように付きまとっていましたよ」
ライフセイバー野田武(26)は健康的な色黒ショタ顔を長川に見せた。
「助けてあげたいと思いました。でも彼女はいつも僕の助けを振り払う。きっと洗脳されているんですよ!」
野田は長川に顔を近づける。
「調べてください。そうすれば犯人が分かるかもしれません」
「こう言っちゃなんですけど」
管理人の宮崎新は眼鏡に細目で長川にため息をついた。
「萱野さんはクレーマーとしても有名で、些細な事で隣人の家に凸したりして、みんなに怖がられていましたよ。ああ、私のアリバイですか。管理人室にいました。防犯カメラに映っています。テレビも映っているはずですから、カメラの時計に細工は出来ないはずです」
「わんつーどうどう、わんつーどうどう」
エアロビインストラクターのヒゲヒグマ恩田(43)はシャツ一枚で筋肉を見せびらかしながらボディビル体操を踊っていた。
「どうです。警部も始めませんか。筋肉街道」
長川は答えない。
「やっぱり怪しいのはあの岩本って奴ですよ」
と千尋が会議室のテーブルをバンバン叩いて長川に詰め寄る。
「いや、あいつは犯人じゃないと思う」
長川は明後日の方向を見ながら呟いた。
「何でです!」と勝馬がデカい顔を近づける。
「あいつ滅茶苦茶怯えていて、普通になんか前に人を自殺に追いやったって話をポロっと私にしたんだ」
長川は遠い目で会議室の時計を見た。
「そんな奴がさ。全然出さなかったんだよ。ボロを。現場は密室だったとか、白い仮面の奴が忽然と消えたとか、自分は現場には出入りできないとか。だから私は奴をビビらせて、奴がそういうアリバイを主張してきたら、何でそれを知っているんだって追い詰めるつもりだったんだが、奴はそれをしなかった」
「あの、その理沙さんのお母さんはスポーツクラブにいたんですか」
と瑠奈が聞く。
「らしい人間はいたよ。でもその人は香川がいるバーを張っていたらしくて、防犯カメラでアリバイは完璧に証明された。事情聴取をしたかったんだが、どうやらもう帰宅したらしい」
と長川は言った。
「管理人の宮崎も、インストラクターの姫川さんも、ライフセーバーの野田も、変な踊りを踊る筋肉マッチョも、それから香川もアリバイは証明されている。岩本にしたってあの密室空間から脱出する手段がない以上アリバイは成立しているんだ」
長川はため息をついた。
都はじっと思案していた。