クローズ・ド・サークル殺人事件 3-4
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- 淀川珠代(28):未亡人
- 加越成太(22):無職
- 丸山太一(32):編集者
- 和渕宏尚(46):作家
- 城道一(71):執事
- 赤城姫子(19):女子大生作家
- 葛西楓子(20):メイド
- 篠栗筋男(35):弁護士
「くそっ、これか…」
結城が見つめて歯ぎしりする。
「大丈夫。眠っているだけだ」と長川。
「とにかく、この子が横に慣れる場所を」
「では客間のベッドに…」と執事の城が都をお姫様抱っこした結城を誘導しようとする。
「あ、貴方、師匠にさっきから付きまとって…薬を入れたんですか」
秋菜が物凄い表情で丸山太一という眼鏡に食って掛かる。
「その可能性はない。秋菜ちゃん」
長川は秋菜を後ろから羽交い絞めにした。
「何で…さっきからこの人師匠にいつも付きまとって」
「だからだよ」と長川。
「都が水筒から離れたのは橋が爆破された時だった。水筒の蓋を開いて飲み口を回して中に薬を入れて元に戻すなんてしたら、絶対都は気が付く。つまり逆説的に彼に都の水筒に何かを仕込むのは不可能だ」
顔真っ赤にして涙をボロボロにした振り返る秋菜に長川は言い聞かせた。長川は城執事に連れられて出て行こうとする結城に言い聞かせた。
「結城君。都と一緒にいてあげてくれ、そして都に誰も近づけさせないでくれ」
「わかった」結城は頷いて大広間を出て行った。
「もう何も信じられないわ」と淀川珠代が絶叫する。
「きっと食べ物にも毒が入れられているのよ。飲み物にも」
「じょ、冗談じゃねえ」と加越成太が立ち上がった。
「お、俺も部屋にこもる」そういって階段を駆け上がっていく。
「わ、私もそうさせてもらいます」
真っ青になった丸山も加越の後に続いた。
「み、皆行かないで…行かないでぇええええ」と淀川珠代はメイドの葛西楓子に縋り付いた。
「大丈夫。私は大広間にいますから」
と長川は珠代を手で制し宥めた。秋菜は呆然と長川の横に立ち尽くす。長川は冷静に考えた。
(都と一緒に橋に駆け付けた丸山、加越、それに女子大生の赤城姫子には水筒に睡眠薬を仕込むのは不可能だ。となるとここで泣きわめいている女とメイド、執事、2階に上がった無口弁護士と和渕とか言う変態作家が都の水筒に睡眠薬を仕込む事が出来るという事に)
「わくわくしてきたわね」
赤城姫子がウキウキ笑った。
「わくわくってあんた」と長川が咎めるように言うと、姫子はあっけらかんと「あの子は大丈夫よ。あの子に何かするつもりなら青酸カリでも仕込んでおくわ」ときょとんとして言った。
「犯人の目的は邪魔な女子高生探偵を眠らせておくだけ。今から犯人の復讐劇が始まるのよ」
と姫子は楽し気な声をあげていた。それを長川と秋菜はじっと見つめていた。
暗い部屋で黒い影がナイフをぎらつかせた。そして血走った目で笑う。
(もうやるしかない。一人を殺すのも2人を殺すのも同じだ。大丈夫だ。どんな名探偵にも解く事が出来ない、完璧なアリバイが守ってくれる)
「すいません。執事さん」
都をベッドに寝かせた結城は眠っている都を見つめながら言った。
「ご安心ください。私どもを含め、このベッドには誰も近づけないようにしておきます」
城執事は不敵な笑みを浮かべて会釈する。
「あ、城さんは亡くなった滝宗太郎さんの執事なんですよね。何かお2人で変わった事はありませんか」
結城が質問すると城は目を細めて「都様の推理に役立てたいと言うわけですな」と言ってから、
「しかし申し訳ありませんが、主のプライベートについては執事の立場として口外する訳にはまいりません」
と会釈する。
「ですよね…」結城は頭をかいた。
「ただその主を殺した犯人がこの屋敷に潜んでいてまた殺人をやらかす可能性があるんですよ。守秘義務もわかりますが、今は情報が必要なんです。次の犠牲者を阻止するためにもね」
「なるほど。ですが私の一存でお話しする事は出来かねます」
城はそう言って一礼すると、部屋のドアを開けた。
「だったら俺が話してやってもいいぜ」
と外にいた加越成太という金髪男がニヤッと笑った。それを一瞥して部屋を出ていく城執事。加越は城を見送りながら、結城の前にある椅子にドカッと座って足を投げ出した。
「俺の兄貴は文学的才能なんてこれっぽちもない。今は出版不況だろ。どこも厳しいんだよ。そんな時に唯一売れているのがネトウヨのヘイト本」
加越は兄の死を悲しんでいるようには見えない。どこか達観した笑みを浮かべている。
「兄貴とそれから部屋にこもっている和渕はヘイト作家として成功したんだ。だがそんな中で、あいつが、淀川が参入してきやがったんだ」
「最初に殺された」
結城は金髪男を見つめた。加越は「ああ」と生返事した。
「あの淀川進って奴ヒヒジジイの癖に元々文学者で文章が滅茶苦茶うまくて、乱歩賞も取っているんだ。そいつがヘイト本に手を出さざるを得ないってのを見て、この国の文学は終わったと思ったよ」
加越成太は頭をかいた。
「そういえば、性暴力被害者を売春婦呼ばわりして、こんな奴を現代文の教科書に使うなってTwitterにハッシュタグ出ていましたね」
と結城。加越は明後日の方向を見ながら頷いた。
「噂じゃ女癖も滅茶苦茶悪かったらしいからな。だが和渕って奴は元特派員で海外の赴任先で少女売春に明け暮れて、それを小説に書いていたし、うちの兄貴もネット番組でレイプ被害者を中傷しまくっていた。そういえばうちの兄貴と和渕、それに死んだ淀川の3人についてはある噂が立っていたな。どうも死んだ3人は小説の題材と性欲から、どうも本当にレイプをしちゃったんじゃないかって。まぁ、3人とも1年か2年くらい前にリアルなレイプ描写を小説に書いていて、本当だったんじゃないかって…ま、担当編集者の丸山って眼鏡はそれを否定していたがな。まぁ、俺としては次に和渕が殺されてくれれば万歳だがな」
加越成太はせせら笑った。
「…の割にはあの和渕って言う奴は落ち着いていますね。むしろ一番怯えているのは丸山って眼鏡の編集者のような」
「あれは臆病な奴だからな。そのくせ自分の利益に忠実で根本的に自己中な奴だ。俺見ちまったんだよ。丸山の奴がさ、この家のメイドの楓子ちゃんに圧をかけているのを」
加越は頭をかいていた。
「あいつ自分より立場の下の人間に対しては強気だからな。うちの兄貴が楓子ちゃんを襲おうとしたらしくてな、それにどすの効いた声で楓子ちゃんを脅していたよ。まぁ、俺は怖くはなかったが、あの子みたいに養護施設育ちで助けてくれる人が誰一人いない子にとっては怖いだろうな」
結城は幸薄そうな小柄で大人し気なメイドの葛西楓子を思い出した。
「そういえば淀川進の奥さんの珠代さんはどんな人ですか」
結城が聞くと加越という金髪のチャラ男は手を振って「ああ、あのケバ女は金の事しか頭にないよ」と吐き捨てた。
「淀川の事をヒヒジジイって言っていたのはあの女だからな。はっきり言ってたよ。兄貴にあのヒヒジジイと引っ付いたのは金の為、死んでせいせいしたって。毎日ここで兄貴とSEXして。すっげー声上げていたぜ」
加越は「ヒヒヒヒ」と下品に笑う。
「今回大仏人形の脅迫が行われてから、彼女が明らかに一番ビビっていますよね」
結城は一瞥しながら加越に言った。
「あの女も旦那と一緒に何か悪だくみとかしていたんじゃねえか。あの女も死んでくれればいいんだけどな。あ、そういえば」
加越成太はふと思い出したように言った。
「あの女、旦那が死ぬちょっと前に、今日来ている赤城姫子って子いるだろ。あの子を泣かせていたな。丁度ここでパーティがあった時だ、廊下で赤城があの女に何か怒っていたよ。お前が先生を惑わせているとかなんとか言っていたな。それからすぐに淀川進の死体が出たんだ」
加越はため息をついた。
「ち、話し過ぎた。せいぜい推理に役立てろよ。探偵助手」
加越成太は立ち上がると廊下に出て行こうとしたときだった。突然銃声が聞こえた。
それは大広間にも聞こえ、「な、何?」と淀川珠代がメイドの葛西楓子に縋り付く。
「た、大変です長川警部」
と城執事が大声で階段の上から呼んだ。
「和渕様のお部屋で銃声が‼」
長川は弾かれたように走り出した。そして城に案内されるままに廊下を走って扉の前にたどり着く。長川はそこで城を下がらせた。ゆっくり鍵を回すと「かかっている」と確認した。長川は懐から拳銃を取り出すと、鍵に向かって一発発射。「きゃぁあっ」と廊下で赤木姫子が悲鳴をあげるのも構わずドアをけり破り、銃を構えて片膝をつき銃を構えた。そして見た。ベッドに仰向けになり拳銃を手にした男が血の海で目を見開いていた。和渕宏尚だった。
その前にはやはり絨毯に広がる血の海にうつぶせになっている男がいた。
「クソッ」
長川は歯ぎしりした。
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長川は部屋に入るとドアの裏やクローゼットの中に拳銃を向け、安全を確保すると「うわぁっ、何だよ」と大声を上げ部屋に入ろうとする加越成太に「入るな」と叫んだ。そして和渕の首に指を当て、死を確認するともう一人の男をひっくり返した。片方のメガネレンズが割れ、脳みそがぶちまけられた形で凄い形相になっていたのは丸山太一だった。勿論死んでいた。
「け、警部」
秋菜が背後から震え声を出した。
長川は窓を確認した。
「はめごろし…密室だな」長川はため息をついた。
「となるとこの状況は」
長川の目線がふとテーブルに映った。そこには金色に光る小さな大仏人形が置かれていた。
「ち」
長川の目が戦慄する。
都が目を覚ました時、部屋にはすっかり日が差して鳥がちゅんちゅん言っていた。
「都、大丈夫か」
と結城の顔が例の貴方が寝ている間にトレンドみたいな位置で都の目に映る。
「あれ、朝ごはんは」
寝ぼける都にずっとベッドにいた秋菜は、その肩をぶんぶん振り回し
「それどころじゃないですよ。心配したんですから師匠‼!!」
と号泣し抱き着いた。廊下には大勢の鑑識が忙しく走り回っていた。
殺人現場を都は見下ろした。
「大体部屋の鑑識は終わったよ。秘密の抜け道とかそういう類のものはなし。ドアも施錠され、吸着ゴムもあるから外部からの細工は不可能」
牛乳瓶眼鏡の鑑識、加隈真理が都に教える。
「それから、和渕の死体は手に拳銃を持ち硝煙反応も出ていた。そして丸山の手にはナイフ。衣服には返り血もついていた。また2人の指紋の状況から見ても第三者が凶器を握らせた可能性はないよ。血痕から見て最初に丸山の方が和渕の腹を刺し、その後で和渕が反撃しようと拳銃をぶっ放して丸山を射殺。その後致命傷を負った和渕も死んじゃったようだね」
都は惨劇の現場をじっと見降ろした。
「少女探偵としては何か気になるところはあるかい」
加隈鑑識に問われ、都は首を振った。
「って事は大仏人形連続殺人の犯人は最初に切りつけた丸山なのか」
と結城が問うと長川は「恐らくな」と言った。
「まぁ和渕が拳銃を持っている事は気にはなるが、奴は銃刀法違反で一度執行猶予になっている。趣味で改造拳銃を作っていたんだ」
「でも丸山さんは第二の事件でアリバイがあったんじゃ。それに玄関のドアに貼り紙を貼る事は丸山さんには出来ないですよ」
とおっかなびっくりの秋菜。長川は少し考えてから秋菜を見た。
「確かにそこは気になる点ではあるが、ひょっとしたら共犯が和渕だった可能性はあるな。つまり丸山と和渕でアリバイを作り合っていた。第二の事件で滝宗太郎が殺された時、実行犯は和渕だったんだろう。そして第三の事件で丸山は和渕と一緒に別の人間を殺す…この時は和渕にアリバイを作るって約束をしていたんだろうが、丸山は和渕を裏切って最初から殺すつもりだった」
「えー、あの抜け目のない和渕がそんなのに騙されますかー」
と赤木姫子がテープの外の廊下で長川に話しかける。鈴木刑事が「部屋で待っていてください」と姫子をどこかへ押しやった。
「長川警部の推理はちょっと変な所があるかな」
都は「うーん」と考え込みながら言った。長川警部は「どこがー」と肩を落とす。
「だってもしそうなら絶対和渕さんは自分のアリバイを作るために大広間に残ったはずなんだよ。だって和渕さんがアリバイを作っている間に、丸山さんが誰か別の人を殺す約束だったって事でしょう。和渕さんはこれまでの事件や貼り紙、大仏の購入、全部にアリバイがないんだよ」
都は長川警部に向かって目をぱちくりさせた。
「確かに、交換殺人は成立しないな」
「となると怪しいのはあの淀川珠代だな」結城は言った。
「あいつと丸山のアリバイ表は事件や出来事ごとに完全に交互になっていやがるんだ」
結城はため息をついた。
「だが和渕が殺される段階で、和渕が隠し持っていた拳銃で丸山を殺して自分も死んでしまった。今頃珠代自身が一番ビビっているか、もしかしたら共犯者も死んでくれてほくそ笑んでいるか」
「いや、淀川珠代は共犯者じゃない」
と長川は言った。
「私らは最初は、夫殺しの件で淀川珠代にアリバイがあるとはいっても、あの大仏人形を被害者である夫が握っていた以上、誰かを教唆した可能性も考えて交友関係を徹底的に洗った。だが珠代と丸山の2人には殺人の共犯関係になる共通項も関係性も見いだせなかった。せいぜい夫の作家仲間の編集者という関係で、浮気や儲け話みたいな話も一切見つかっていない。橋の爆破に使った爆弾の入手経路も、もし淀川や丸山が犯人だったらその時に警察は把握していたよ、絶対に」
女警部に断言されて、結城が「マジか」とため息をついた。
「メールとかLINEとかでやり取りしていたんじゃないですか」と秋菜。長川は頷いた。
「まぁ、もしそうなら警察と言えども完全に把握しきるのは難しいだろう。だが、その可能性はほぼゼロと言ってもいい」
「どうしてですか」と聞く秋菜に、都が説明を代わった。
「秋菜ちゃん、AさんBさんが交換殺人でそれぞれお互いに1人ずつ殺したとするよね。もし交換殺人がバレたときに、Aさん、Bさんはそれぞれ1人を殺した罪に問われる…なんて事にはならない。1件の殺人ともう1件の殺人教唆に問われるんだよ」
「そう」
女警部が秋菜に説明を続ける。
「殺人教唆ってのは殺人そのものよりも量刑は重くなる傾向にあるんだ。だって自分の手を汚さないで人を殺すんだからな。その上で自分が直接的に恨みを持っていない人も犯行を逃れるために自分の手で殺す訳だから無茶苦茶量刑は重くなる。死刑や無期懲役の可能性も高いだろうな。下手をすれば自分も口封じに消されるかもしれない、そんな危険な賭けのパートナーになるのは、実際にあったネット上でのやり取りみたいな全く知らない赤の他人か、逆に絶対に裏切らないという相当の信頼関係で結ばれた相手か…。だが丸山も珠代も互いに名前は知っている一方でそこまで特別な関係でもない。殺人の共犯関係になるようなミッシングリングがない事は、散々捜査されているんだ」
「へー」秋菜が感心した声を出す。
「都は今のところどんな見解を持っているんだ」
結城に問いかけられ、都は「うーん」と考えてから「私は丸山さんの単独犯だと思っているよ」
と言った。
「単独犯?」
結城は素っ頓狂な声を上げた。
「でも丸山には第二の滝宗太郎殺しのアリバイが」と長川。
「それは何かしらのトリックを使ったか。それか丸山には別の共犯者がいたとか」
都は結城を見つめて答えた。長川は「その心は」と聞いた。
「私が眠っている間、銃声が聞こえてから警察がヘリコプターで来るまで、どれくらいの時間があったかな」
都の質問に秋菜は「ええと」とメモ帳をめくった。
「銃声があったのは午後8時、そして警察のヘリが来たのは朝の8時ですね」
「12時間も間があるよね。でも犯人はその間に誰にも危害を加えていないし、何の行動も起こしていない」
と都がどんぐり眼をぱちくりさせた。
「そりゃ、標的を殺しつくしたからとかじゃないか」
と結城が言うと都は首を振った。
「だって犯人はこの別荘に私たちを閉じ込めたんだよ。1人を殺すだけならそんなことをする必要はないよね。だっていきなり襲ってしまえばいいだけなんだから。橋を爆破したり、変な脅迫文を貼り付けたり、漫画みたいな事をすれば却って警戒されちゃう。と言う事は犯人は2人以上を殺すつもりだったのにそれが出来ていない。と言う事は」
「犯人自身が死んでしまったからなのか」
と結城。都は「うんうん」と頷いた。
「まぁ、丸山や和渕やそこら辺の奴らの通話履歴とかメールのやり取りとかは残っているだろうから。それを見てみれば何かわかるだろうな」
と長川はため息をついた。窓の外では応援のヘリコプターが着陸しようとしていた。
「くくくくく」
2階窓から屋敷の前に広がる広場で秋菜や結城、長川とお喋りする島都を見つめる黒い影。
「どうやら丸山が何かしらのトリックを使って第二の事件を引き起こしたと思っているようだな」
ぞっと笑う黒い影。
「だが女子高生探偵島都と言えども、この殺人トリックを暴く事は出来まい。高校生がこのトリックを暴く事は物理的に不可能なのだ」
館の前を歩く都は考え事をしていた。
「師匠、何か考え事ですか」
秋菜が都の顔を覗き込む。
「うん、今回の事件、何か引っかかることがあるんだよね。さっきから」
都は赤いパーカーを赤ずきんちゃんみたいに被る。
「なんか私、もしかしたら何かとんでもない間違いをしているんじゃないかな」
「おいおい、何不安になるような事を言っているんだよ。せっかくクローズ・ド・サークル状態からおさらば出来るって言うのに」
結城が呆れたように言うと都は「うん」と浮かない顔だ。
「でもそのクローズ・ド・サークルってのに、私はとんでもない謎を置いていこうとしてるのかもしれない」
都はふと邪悪な視線を感じて、秋が深まった山の不気味な別荘を振り返った。そして思い出していた。最初に別荘に来た時、メイドさんがドアノブを拭いていた事、橋が爆破された事、玄関の貼り紙、混入された睡眠薬、やたら付きまとう死んだ丸山、密室の2つの死体。
それらの記憶が女子高校生探偵を不安な気持ちにさせていた。