倒叙殺人事件1-2 事件編
1
「どうしよう」
徳田真綾(22)が事務所の机で書類を見て声を震わせた。
「わ、私のミスだ」
その時だった。社長の千頭高元(53)が「オイ」と竹刀で花瓶を叩き壊しながら事務所全体に向かって喚いた。
「取引先に持っていくこの書類を作ったのは誰だ?」
徳田は体を震わせた。それでも必死で立ち上がろうとしたとき、徳田の手の書類を取り上げて社長に持って行った男がいた。眼鏡をかけて温厚そうな細目の池上大介という先輩社員だった。
「また、お前か」
千頭は竹刀を壁に立てかけた。そして横に置いてあった金属バットを手にした。
「お前はもう竹刀では済まん」
社長は池上大介に「ここに立て、動くなよ」と言ってから思いっきりフルスイングで腹に金属バットを振り打った。「ぐっ」と悲鳴を上げて池上が倒れ込むと、「誰が動いて良いって言ったよ」と社長は顔面を蹴り上げた。
そして池上を立たせて、もう一度金属バットをフルスイングする。その勢いで池上の体は後ろの窓ガラスを突き破り、そのまま事務所前の駐車場の社用車の屋根に落ちて、そのままアスファルトに向かってバウンドした。池上は苦しそうに呻いている。
千頭社長はさすがにまずいと思って駐車場まで降りて駆け寄ったが、フラフラ座り込んでいる池上を見ると、再度蹴り飛ばし踏みつけ暴力を加え続けた。
「死ね。このゴミ野郎」
として溜飲を下げてから「ガラス代と迷惑料として200万円だ。払わないと殺す」と言って、首根っこ掴んで仕事に戻らせた。
徳田真綾は胸を押さえ、スーツ姿で体を震わせた。暴力も怖かったし、自分のせいで温厚な先輩が死ぬかもしれないような暴力を受けているのが怖かった。だがもう一つ怖かったことがある。
「せ、先輩…」
顔をボコボコに腫らしながら何事もなかったかのようにPCを叩く池上に、徳田は声を震わせた。
「本当にすいません」
「大丈夫だよ」
池上は割れないように机に置いてきた眼鏡をかけながら、にっこりと笑った。
「娘をちゃんと育てないと。高校生になっていろいろ大変な時期なんだ。また失業なんかしたら駄目だ。安心して高校生活を送ってもらいたいんだ」
池上は「君も怖かったね。僕が全部受けたから、何も心配しないようにね」と言った。
初夏の県立常総高校の廊下を結城はカバンをリュックみたいに背負いながらだるそうに歩いていた。
「ちょっと貴方」
と美人の眼鏡の委員長女子、百瀬文(17)が腕組をしながら怖い顔でこっちを見た。
「貴方探検部の副部長だったわよね」
「はい」と結城は頭をポリポリする。
「これは一体何なのかしら」
結城は一枚のポスターを見た。パイプを加えてどや顔をキメている北谷勝馬の不細工な笑顔と「北谷勝馬探偵事務所、探検部部室に解説」という文字が躍ってきた。
「解説という字が間違っていますね」
と結城は答えた。
「そういう問題じゃないわ。一体こんなポスターを校内中にペタペタ貼ってどういうつもりなのかって聞いているの‼」
生徒会長にずいっとポスターのどや顔の勝馬とキスしそうな位置で顔をそむける結城。結城はここへきて気が付いた。壁にも窓にもどこの人民民主主義共和国かと言わんばかりに勝馬の不細工な顔が貼られていて、しかも向こうの方では板倉大樹と毬栗が「勝馬さんの時代だな」「トレンディ勝馬さんだな」とポスターを貼りまくってる。結城はΣ( ̄ロ ̄lll)ガーンとなっていた。
「あ、この人がどなたか存じ上げません、他人です他人」
結城はそっぽを向いて言ったが、百瀬は勿論納得しない。
「そんなわけないでしょう。いつもつるんでいるくせに」
と鬼の形相で眼鏡を反射させる百瀬。
「まぁ、悪いものを食っただけだと思うので、すぐに剝がすんじゃないでしょうか」
結城は言った。
「大変だったね結城君」
と瑠奈が探検部部室で苦笑した。
「でも勝馬君、探偵になりたいって、朝ごはん何食べてこうなっているんだろう」
と瑠奈が心配そうな顔で勝馬を見つめる。
「そのうち、ふへへへへとかいきなり笑い出して自分語り始めるよ」
「ふっへっへっへっへ」
と結城の予想通り北谷勝馬が急に不気味な笑い声をあげた。
「ゲンキンな野郎め」
結城竜が活動報告書を高野瑠奈と書きながら、苦々しく勝馬の方を見た。
「変なキノコでも食べたの」と千尋が漫画を見ながら言う。
「何を、いやいや。俺もなかなか最近推理力が上がってきたと見えてきましてな」
勝馬はぶっへんとパイプ椅子に座る。
「テレビの再放送でやっていた推理ドラマの犯人を5回連続で当てたところですよ」
「へぇー、お前にしては凄いじゃねえか」
と結城はいいつつ(それで名探偵事務所を開業かよ)とあきれ果てる。都は「おおおおおお、勝馬君凄い」と感心したように拍手をする。
「へぇ、何の推理ドラマの犯人を当てる事が出来たの? 相棒? 科捜研? 金田一の実写版?」
と千尋が聞くと、
「ふ、もっと高尚かつ古典的な作品ですよ」
と勝馬はうざったく眉毛を動かしながら言った。
「古畑任三郎」
「おおおおお」都は目をキラキラさせて拍手をするが、後のメンツはジト目で勝馬を見た。
「あれ、なんか、寒いな」
勝馬が微妙な空気にたじろいで全員を見回すと、高野瑠奈は「古畑任三郎って、最初から犯人が明かされている奴だよね」と確認し、結城は「あれを倒叙ものだと気づけねぇなんて、俺にはまねできねぇ」
とため息をついた。
「何だ、トージョって」
勝馬がぽかんとする。
「簡単に言えば、犯人が最初からわかっている推理作品の事よ」
と瑠奈がため息交じりに言った。
「そ、そんな…犯人が最初からわかっているなんて…ネタバレじゃないですか」
勝馬の声に瑠奈は「そうでもないよ」と説明した。
「倒叙ものでは、犯人が誰かって言うフーダニットよりも、犯人がどのように完璧なアリバイを作り、探偵がどのようにそれを暴いていくか、それを重視した作品なの。テレビドラマでは刑事コロンボが有名だよね。江戸川乱歩だと「死の十字路」という作品がそうだと言われているわ。要は、犯人が分かっている状態でいかに推理を面白くするか…それが書き手の腕の見せ所って感じなの」
「な、なるほど…探偵ドラマって奥が深いんですね」
と勝馬は腕を組んで頷いてから「あ」と声をあげた。
「舎弟に頼んで名探偵勝馬が爆誕したと、そう宣伝しまくっちまった。やべぇ、俺の脳細胞に期待した依頼者が来ちまうよ」
勝馬がガクブルする。
「大丈夫だよ。多分来ないから」
と千尋が言ったとき、突然探検部のスライドドアがガラガラと開いた。
「勝馬君、それと探検部のみんな…」
野球部のマネージャーの名取恵美(16)が胸を押さえて声をあげる。ショートヘアの美少女だった。
「助けて‼」
「依頼来たァアアアアアア」
その場にいた全員がΣ(・ω・ノ)ノ!状態になった。
「な、なんだ…」
蛇口付きのポリタンクが大小2つ水道の前に置かれていた。
「実はポカリの粉が4リットル分あるんだけど、このポリタンク、5リットルと3リットルしかないの。それで丁度4リットルの水を作りたいんだけど。選手の体調管理に関わるから、ちゃんと分量を守りたいんだよね。それにこのポリタンクでずっとやっていくからさ。一番簡単な方法を教えてよ」
と名取は手を合わせてお願いした。。
「なるほど、むむむむむ」と都がポリタンクを見る。
「ふははははは、簡単ですよ」
勝馬は名取を見つめ、2つのポリタンクを手にした。
「ダイハード3でやっていました。まず3リットルのポリタンクにお水を入れて、それを5リットルのポリタンクに入れます」
「ほうほう」都は頷く。勝馬はポリタンクに水を入れて移し替える。
「そして、もう一度3リットルのポリタンクにお水を入れて、また5リットルのポリタンクに水を入れる…すると溢れちゃうから3リットルのポリタンクに1リットル残りますよね」
「お、おう」と千尋。
「そして5リットルの水を捨てて」
勝馬は水場に派手に水を流す。「水がもったいねぇな」と結城が突っ込んだ。
「あとは3リットルの方に残った1リットルの水を5リットルのポリタンクに移して、3リットルのポリタンクを満杯にすれば…」
「お前の頭にしては上出来だが、思いっきりこぼれちゃっているよ」
そそぎ水がポリタンクの上で暴走している。
「ぬおおおおおおお。最初からやり直しだ」勝馬が頭を抱えるが、結城は「お前のやり方は水道代に優しくねえよ」と止めさせた。
「高野…もっとよさげな方法はないか?」
結城が聞くと瑠奈は少し考えた。
「ううん」
瑠奈は考え込んだ。
「私も勝馬君のやり方が一番手間がかからなくていいと思うんだよね」
「でももうちょっと簡単な方法を」
と名取は瑠奈を大明神のように拝んだ。その時都が「出来たよ!」とVサインを出して5リットルのポリタンクに入った水を見せた。
「え、お前…一回も水を捨てていなかったよな」
と結城が唖然とした。
「しかも水道も2回しか出していなかったけど」と瑠奈。
「ええ、さて」千尋は急に明後日の方向に向かって話しだした。古畑みたいに眉間に手をやって不敵な笑みを浮かべながら、イマジナリーに向かって喋りだす。
「ええ、この小さな女子高生探偵は、5リットルと3リットルのポリタンクを使って、わずか2回蛇口をひねり、一回も水を捨てないで4リットルの水を作り出しました。一体どうやって彼女は4リットルの水を作り出したのでしょう。CMの間に皆さんも少し考えてみてください。薮原千尋でした」
最後のウインクがわざとらしい。
2
「簡単だよ」
都は声をあげた。
「水を入れながらポリタンクを斜めに向ける。そして水面の高さがポリタンクの対角線の角を結ぶようになるまで水を入れればいいんだよ」
「あ」瑠奈が目を見開いた。
「そっか。そうなれば5リットルの半分の2.5リットル、3リットルの半分の1.5リットルが計量出来る。それを合わせれば、4リットル」
「いえーい」
都は瑠奈をハイタッチした。
「やはり本物は違います」
勝馬はしょんぼりとして言った。
「本当に僕を頼ってくれたのに、しゅいません」と名取に頭を下げる勝馬。
「あ、勝馬君にしてほしかったのはそういう事じゃなくて」と名取は慌てて首を振った。そして3分後、勝馬は物凄い筋肉でポリタンクをシェイクしまくっていた。
「ホラホラ、シャイクシェイクが足りないぞー」と千尋がニヤニヤ声をかける。「ふおおおおおおおおお」と大声を出す勝馬君。
「勝馬さん、元気を出してください」
と夜10時の駅フードコートで勝馬を慰める板倉と毬栗。
「都さんは日本最強の女子高校生探偵ですから仕方ないですって。古畑任三郎より早く犯人にたどり着いた勝馬さんも、伊達ではないですよ」
「でも、古畑はトージョーなんだとよ。うおおおおおおおん」
訳の分からないことを言って号泣するのはいつもの勝馬だが、板倉と毬栗も「トージョーなんて、ナンジョーですよ。わはははは」と訳の分からない慰め方をする。
「おい」
フードコートの少し離れた席に座っていた千頭社長は部下の池上大介に命じた。
「あいつに喧嘩打ってこい。営業の為の根性を付けるための業務命令だ。あいつらに殴りかかってこい」
そして池上の胸倉を掴んで引き寄せた。池上は苦しそうにする。
「やらないとお前の家庭を崩壊させるぞ」
どすの利いた声でそう言って、周りの社員がニヤニヤ笑う中で、池上はフラフラと歩いて行った。そして一番体が大きく、ガタイの良さそうな少年に「おい」と声をかけた。
「何だ」
勝馬が振り返るが、立っていたのは顔がボコボコになったサラリーマンの温厚そうな男性だった。声が震えている。眼鏡をかけた池上は拳を作ると、勝馬に向かって殴りかかった。その拳は勝馬の顔面に右ストレートで入って、勝馬はよろめいて椅子からズッコケる。
「おい、コルァ」
と板倉と毬栗が喚くのを勝馬が手で制した。そして池上の前に仁王立ちした。
「好きなように殴りゃいい。それでお前が助かるんだろう」
勝馬の言葉に板倉と毬栗はニヤニヤ笑っているサラリーマン連中を見てハッとなった。
「何で」
池上は拳を降ろした。
「何で僕が殴る前に、ボコボコにしてくれないんですか。何もしていない君を殴ってしまったじゃないですか」
池上はとぼとぼ千頭社長の所に戻った。次の瞬間、池上の体が吹っ飛んだ。千頭は怒りにわなわな震えていた。
「何だ。お前は人を殴れないってか。お前俺の事を馬鹿にしたな」
フードコートのタイルに蹲る池上の頭を足で踏みつけようとする千頭。だが次の瞬間千頭の顔面に勝馬の頭突きがヒットする。
「野郎」フラフラよろめく千頭は次の瞬間、勝馬の腹に拳を叩きこんだ。普通ならこれで倒れると思ったのだろうが、勝馬は再度拳を千頭の顔面に叩きこむ。
後は滅茶苦茶だった。警察が到着したとき、勝馬は格闘技をやって暴力慣れしていたマッチョな男性社長に地面を舐めさせていた。
「それで停学14日かよ」
結城は勝馬の家でシャツパンでボーっとしている勝馬に呆れたように言った。横で千尋が勝馬の妹の彩楓とゲームをしている。
「正当防衛だよ。今回は。誰も勝馬君が間違っていたなんて思っていないよ」と瑠奈が苦笑する。
「瑠奈さんが抗議したせいで探検部まで活動停止1週間になってしまって」
勝馬は泣いていた。
「だから、勝馬君の家で活動しているんじゃん」と千尋は荒野行動をしながら言っている。
「俺らの部活は、だべる場所があれば成立するだろ」
と結城。
「勝馬君、私にも喧嘩のやり方を教えてよ」
都はボクシングの真似をして、勝馬を見上げる。勝馬がしょんぼりしているので、都は「アタタタタタタ」と百裂拳モードになる。
「はいはい、危険な事はやめようねー」と瑠奈が都を押しとどめた。
「しかし何なんだ、あの社長。50代超えてこんな幼稚な事しているのかよ」
結城はため息をついた。
「なんか板倉君が、殴りかかってきた人に名探偵勝馬のポスター、一枚渡したみたい。また虐められたら助けるからって」
と瑠奈。
「ちょっと心配だよな」結城はため息をついた。
「勝馬くーん。元気出してぇえええ」
スノーマン人形みたくなった勝馬を都はブンブン振った。
千頭は怒り心頭になっていた。なぜ俺がボコボコにされ、警察に厳重注意処分を受けなければならないのか。全ては池上のせいだ。あいつにあり得ないような罰を下さなければならない。残虐な罰を。あいつを絶望に叩きこむ罰を。
千頭は会議室のプロジェクターの設置を行う。そして事務室で一人残業をしている池上に「おい、池上。こっちにこい」と命令した。
池上は「はい」と緊張した声で事務机を立つ。恐らく暴力が始まるであろう事は池上にもわかっていた。だが会議室で見たものは、暴力などまだ救いがある、池上大介を絶望させるものであった。
「千尋さーん。反省文こんなもんでいいですかね」
「ちょっと見せてみ」結城は千尋から原稿用紙を奪った。
「何? 暴力の悲惨さを勉強するために原爆資料館見に行く? 多分書き直しさせられるぞ。千尋変なアドバイスするなよ」
「じゃぁ手前反省文書いて見せろよ。最高の反省文を」
と板倉。
「そしたらそれをありがたく学校に提出してやるからよ」と毬栗。
「何でそうなるんだよ」
結城はため息をついた。
「まぁ確かに、今回はお前らは何も暴走してねえからな。何もしないって言うのは殴られている人を見捨てるって事にしかならねえし」
「次からは、北斗神拳を習得して経絡秘孔を使って内部から破壊しますとかどうかな」
と都。結城は「おい、女子高生探偵」と突っ込んだ。
「証拠が残らないように確実に口封じと地上からの消去を」という瑠奈に「探検部部長ぉ」と結城はΣ(・ω・ノ)ノ!した。
そのまさにその時、千頭の頭に金属バットがめり込んでいた。
「ぐあっ」
千頭社長は頭を押さえてよろめいた。格闘経験のあるマッチョな社長も、後頭部に金属バッドをフルパワーで振り下ろされれば、反撃など不可能だった。千頭は血だらけの頭を押さえて、自分を殺そうとしている眼鏡の部下、池上大介が穏やかにニコニコ笑っているのを見た。
「や、やめてくれ」
死の恐怖に怯える千頭社長の頭に、池上は何度もバットを振り下ろした。何十も無心にバットを振り下ろし続け、千頭の頭はグシャグシャになっていた。
その前に立ち尽くす池上の横で回るプロジェクターが死体を照らし出した。
翌朝。
-至急至急、本庁より入電。常総市あいのやま三丁目、千頭物産社屋にて同社社長、53歳男が死亡しているとの入電。
パトカーが早朝のニュータウンの街を爆走していく。
現状に到着した長川朋美は大量の血痕が飛び散った事務所の床を見て「ひでぇな」とため息をついた。
「死体は」
「あそこです」
所轄刑事に促されて、女警部はやっと気が付いた。
被害者の千頭高元は社長椅子に座り、頭をぐちゃぐちゃにされて脳髄を滴らせた状態でノートPCを開いてマウスを手にしていた。床には引きずった跡が血糊として残っている。
「あのプロジェクターは」
長川はプロジェクターを見ると、部下の鈴木刑事が事務机の上にあるノートPCを再生させた。
「この動画が流れていたと思われます」
その動画の内容に、長川警部は唖然とした。
警察署。
長川朋美という女警部は取調室で池上をじっと見つめた。
「犯行時刻の僕のアリバイですか?」
眼鏡をかけた池上はニコニコ笑って答えた。
「それなら娘と一緒に自宅にいましたよ。二人でカレーを食べていました」
池上は自分の横の空いているパイプ椅子を眺めながら明後日の表情で言った。そして長川を見つめると
「娘が証言してくれたとしても、まあ、親族ですしね。僕を庇っていたと見られても仕方がない。ですが」
と思い出したかのように言った。
「市営団地には防犯カメラがついていますし、牛丼屋のおばちゃんが証言してくれますよ。あと仕事上上司に電話しているので基地局を調べてみたらいい。きっとアリバイを証明してくれますよ」
池上がニコニコ笑うのを見て長川は部下の鈴木と顔を見合わせた。
「完璧なアリバイでしょう」
池上がニコニコ笑う。