死神トンネル殺人事件❺
【容疑者】
・本多華凛(16):高校1年
・太田純也(16):高校1年
・松岡哲士(16):高校1年
・石田理奈(15):高校1年
・青野ひろ子(36):民宿経営
・森庄司(38):ディレクター
・冴木麗子(28):アナウンサー
・平本宗司(45):カメラマン
9
長川警部は役場のロビーのソファーに女子高生探偵島都を座らせた 。
「良かったな」
ふと長川警部は都を見つめた。 そして警察が確保した部屋に戻っていった。 都はぼーっとしていた。
「都、今にも旅立ってすまいそうな顔だな」
と眼鏡の松岡哲士はため息をついた。
「うん、でも嬉しいんだよ」
都が疲れた、でも心から安心した表情を向ける。
「嬉すい?」
と石田理奈が眼鏡の奥の目を瞬きする。
「だってみんなが犯人じゃないって事がわかったから。 みんなのアリバイは完璧。 もうどんなトリックを使っても絶対に犯行なんて出来ないのが分か ったんだもん」
都はにっこり笑った。
「ごめん都、。不安で不安で仕方がねえっけんだよね。 私らの中さ犯人がいるんでねがって。 んだがらその可能性って奴全部潰すまで走り回ってくれだよね」
と本多華凛というニット帽の少女が笑った。
「 んだがら海水浴客の水着鑑賞でいうイベント蹴ってまで事件捜査優 先すてくれだんだ」
と松岡哲士というエロそうなメガネ男子が言った。
「都、おめいいやづだなー。おらは感動すてるぅうう」 と太田純也と色黒のガタイのいい男子高生が二の腕を目に押し当て る。
「事件の捜査どがでおめとはあまり遊べねがったげど。 でもおめの事はよぐわがったす、 多分遊ぶよりもおめばよぐ知れだど思う」
太田の言葉に都はにっこり笑った。「ありがと」
「お疲れ様」
と華凛は都に言った。
「そういえば」
都は目をぱちくりさせた。
「瑠奈ちんは」
「入院すてっよ。検査入院だって」と石田理奈が言った。
「ひょっとして鶴岡南病院?」
都が心配そうに声をかけるが、理奈は笑った。
「違うよ。おらのおっちゃんが経営すてるクリニック。 でもなにむぎケガもすてねすから、明日には帰れるって」
「私の心配もすてよ。犯人さ首絞められだんだがら」
と華凛がジト目で都を見た。都が「心配心配心配」 とヘンテコなオーラを手から出す。
「ほだなわざどらすい心配はいいよ」と華凛。
華凛はため息をついた。「瑠奈にもひどい事すたし、許しぇねわ、 犯人」
「犯人は誰なんだべ」と理奈。
「あのカメラマンは怪すいぜ」と松岡は声を潜める。
「なるほど、 あんたはずっと民宿の部屋にいていつ冴木麗子が民宿からいなくな ったのかも知らないと」
長川警部は言った。
「ああ、本当に知らないんだ」
カメラマンの平山宗司はガタガタ震えながら言った。
「 でも高校生も民宿のオーナーもみんな完璧なアリバイがあるのに、 被害者と関係があるあんたが何故かアリバイがないんだ。 しかも冴木麗子殺しは計画殺人。 一番アンタが殺しをしやすい立場なんだ」 と古市警部補は真っすぐ平山を見る。
「だが、話を聞くと死体はあつみ温泉の駅近くにあったんだろう。 だが俺は国道にも、 それから県道のトンネルにも防犯カメラに映っていなかったはずだ 。犯人が確実にあつみ温泉駅近くにいる時間帯に、 俺はあそこらへんには出入りできない立場なんだ」
「質問を変えよう」
長川は平山を睨みつけた。
「あんたと殺された2人は、 2年前に青野望美さんが白血病で亡くなった件でドキュメンタリー を撮っていたよな。そしてその時に何かをやらかした。 そこに針本って医者も関わっていた。お前、 あの2人が殺された理由はそれだと考えているんだろう」
「な、何の話だ」
「次に殺されるのはあんただぞ」
長川は平山を𠮟りつけたが「何のことだかわからん」 と平山は絶叫するだけだった。
刑事との面談を終えた平山は廊下をふらふら歩いた。
(殺される、殺される。俺はきっと殺される。誰だ… 誰があの2人を)
怯え頭を抱えるサングラスの髭をドア越しに見ながら長川は「ち」 と舌打ちをした。
「ふふふふ、理奈ちゃんの膝枕も最高だよぉ。あ、 華凛ちゃんそこそこ」
都はソファーに寝っ転がって華凛に足の指圧を受けていた。
「羨ましい」と松岡哲士がハンカチを口にくわえて見る。
「でへへへ」と笑う都。
「でも俺らもくたびっだよなー今日もサッカー見れねがったし、 そういえば昨日も相撲見れねがったよな」 と太田がソファーにぐでーしながら言った。
と石田理奈がため息をつく。
「俺達ってどうしてこう肝心な時にドタバタするんだろうな」 と石岡。
「そういう習性じゃないの?」と華凛。
都は膝枕をされながら天井を見た。そして二の腕で顔を隠した。
「ごめん。ちょっとトイレ行ってくる」
女子トイレで都がぐしぐしハンカチで顔をこすっているすぐ後ろに 長川が立った。
「あの平山って奴は絶対何か隠してやがる。 それも犯人に殺されるかもしれない状況で隠さなきゃいけない何か を」
「長川警部…私…」
都が強い視線で振り返った。
「犯人が誰かわかっちゃった。ついさっき」
「都…」長川は大体察していたらしく都をじっと見た。 それでも女警部は女子高生探偵の悲し気な笑顔を一生忘れる事は出 来ないだろう。都は目をぐしぐしやって長川を見た。
「さっき友達と話をしたんだけど、 おかしなことを言っている子が一人いた。絶対にありえない事を。 犯人が最後の標的を殺す前に…早く犯人のトリックを暴かないと」
「わかっている」長川は言った。
「 奴については古市警部補と交渉してあれやこれやで今晩中は監視下 に置かれる事になった。だが、 これ以上は警察も奴を拘束しておくことはできない。 このままだと確実に奴は殺されるだろう」
「今晩中だよね」
都は言った。
「都…まだ捜査に行くの?」
都が長川役場から出ようとして自販機でジュース飲んでいた本多華 凛に呼び止められた。
「うん、 これから宮内トンネルを北出口から南出口にずーっと見てみようと 思う。証拠とか落ちているかもしれないしさ」
「頑張るなー。でも気をつけろよ。 ゴムマスクの奴がトンネルの中に現れるかもしれないしさ」
「大丈夫。長川警部の方が強いし美味しそうだし」
という都に女警部は「おい」と突っ込む。
「でも安心したよ。都、今凄く格好いい。 前会ったときは心配したんだけどさ」
ニット帽の少女はにっこり笑った。
「アイデンティ? 難しい言葉無理して使わなくてもいいよ。でも良かった」
華凛は言った。少し寂しそうに。
「じゃぁ、また明日」
「うん」都は笑った。 華凛が見送る中で都と長川警部は夜道に颯爽と歩きだした。
「鑑識活動は大体終わっているが」
長川警部はトンネルの北口から入って懐中電灯をぐるぐるさせる。
「やっぱり北出口が犯行現場だったんだよ。 北出口の近くでトンネル内に幕を張ったんじゃないか。 ミッションインポッシブルにあるだろ。立体映像を映す奴」
都は長川警部に首をかしげて見せた。
「言ってみただけだよ」
長川はため息をついて頭をぐしゃぐしゃやりながら、 北から南に向かってトンネルを歩いていく。
「都、第一の事件で森庄司ディレクターが殺された時、まぁ、 高校生全員には心理的なアリバイが成立していると言ったよな」
トンネルを歩きながら長川は言った。
「うん」
都は言った。
「ああ。太田君が立ち小便をして、 都と高野さんが忘れ物を取りに、 その間にバイクで花火買いに行っていた本多さんが太田君と合流。 海岸で待っている松岡君と石田さんの所にみんなで合流ってややこ しい構図だろう。太田君は2分間しか小便はしていないはずだし、 本多さんがいつバイクで来るかもわからない。 都と高野さんが民宿で忘れ物をどれだけ探すかも不明。 しかも忘れ物も偶然だし、 誰かが嘘をついても他の人間に矛盾なく騙しとおせる可能性は低い し、何かのトリックを成立させることも不可能」
長川警部は警察手帳をライトで照らして見ながら言った。
「いろいろ複雑すぎてわけわからねえな」
「そんな全部を覚える必要はないよ」
都は一言言った。
「『とにかくややこしいアリバイが全員にある』『 そのアリバイは偶然で起こっている』 で覚えても大丈夫な問題だよ」
「じゃぁ、そうやって覚えるとしよう」と長川は唸った。 みんなもそうやって覚えよう。
「でもね。このアリバイは2つの点を抑えておけば、 簡単に解けるアリバイなんだよ。 それをさっきの役場のロビーであの子の発言が教えてくれたんだけ どね」
都は少し悲しい表情で言った。
「問題は」
都はトンネルに仁王立ちになってじっとその空間を見つめた。
「このトンネルが作り出した犯人の完璧なアリバイだよ」
その都の後ろ姿。 ハーフパンツにサマーブラウスの小学生みたいな高校生の後ろ姿に は、 このトンネルのトリックを何としてでも解くという闘志が漲ってい た。
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「物凄い難解なトリックだよ」都は唸った。
「 冴木麗子さんがこのトンネルの南側の近くにいた事は間違いない。 そして冴木さんと私はスマホで会話しているし、 しかも私たちはトンネル南側出口前の道路にいた。 そして冴木麗子さんの首がトンネルの北口で発見された。 絶対に犯人が手足のない冴木麗子さんを南口近くからトンネルを通 って北出口に連れ去り、 反対側の出口から連れ出して川の近くで惨殺。 死体を私たちに見つけさせたとしか思えないんだよ」
「そうなんだよな」
長川はため息をついた。「 首だけで被害者が生きているように演技したとかそんなんじゃない んだもんな」
都はトンネルの中を歩きながら、事件の謎を整理していく。
「この事件で謎なのは、4つ。 まず森ディレクターがこのトンネルで殺害された理由なんだよ。 さっきも言ったようにトンネルは逃げ場所が2か所しかないし、 捕まる可能性は結構高いよね。 そんな場所で森ディレクターを殺したのには何か理由があるんだよ 」
都はトンネルの中で考え込んだ。
「それは私も気づいていたよ」
長川警部が都に言った。
「古市警部補にもそのあたりは提言したんだが、 モノホンの猟奇殺人者か、 あるいはそう見せかけて動機を隠そうとしているか。 この2つだろうって考えているみたいだ。 私もそれには賛成しているんだがな」
都は長川の言葉にも考え込むことをやめなかった。
「本当にそれだけとは思えないんだよね。 何か重要なガジェットに見えるんだよ。 この事件で鉄壁のアリバイを成立させる」
都は考えた。
「3つ目が瑠奈ちんが狙われた理由。 瑠奈ちんはかなりしつこく狙われていた。絶対に『誰でもいい』 って感じじゃなかった。 だけど瑠奈ちんは山形に短期間来ているだけだよ。 でも犯人は2日前に山形に来た瑠奈ちんを多分相当計画的に狙って いる」
「 古市はかわいくて美人でスタイルがいいから狙われたって考えてい るらしいぜ」
と長川。都は続ける。
「4つ目が瑠奈ちんはなんで白装束を着せられていたのかな」
「犯人の趣味だろ。BY古市警部補」と長川警部。
「何かの見立てなのかもしれないけど。 別にそんな言い伝え伝説とかそういうのはないよね」
都は長川を振り返る。「 つまり見立てにもなっていないオブジェってわけか」
「でも犯人には必要な理由があった」
都はトンネルの中で考えた。
「4つそれぞれに何か理由があるって事か」 長川が顎下から自分をライトで照らす。
「というよりも4つとも同じ理由と考えた方がいいと思う」 と都がライトを自分の顔に下から照らしつつ答える。
「 この4つの理由がわからないと事件を解決する事は出来ないんだよ 」と都は長川を見た。
「4つの理由か」長川警部はトンネルの中で考え込んだ。
「ただそのヒントになるようなことを、 あの時犯人が口走っているんだよ」
都はじっと前を見た。「 きっとそれは犯人のトリックにもつながってきている」
都は歩き出した。トンネルの民宿側の出口が近づいてきた。 警察のテープが貼られたトンネルの出口を見たときだった。 島都の足が止まった。その目が見開かれる。 月明りで外の田んぼなどの姿が見えた。 本当は陸橋となって向こうのトンネルにつながるはずだったが、 今では田んぼと川で分断されている。
「長川警部…さっきなんて言った?」
都はおもむろに言った。
「さっきって…ああ、 首だけで被害者が生きているように演技した」 と長川がむにょむにょ答えるのを都は首を振った。
「ううん。その前だよ」
「あ、ええと」
「なんで私そのことに気が付かなかったんだろ」
都は目を見開いて外に出た。 長川は意味が分からずきょとんとしながら、 外の景色と都を見比べた。 都は長川警部を切羽詰まった表情で見つめた。
「犯人のトリックが分かったかもしれない」
「なんだって」
都の重大発言に長川は素っ頓狂な声を出した。
(くそっ、トイレも出来やしない)
と平本宗司は洗面所で腕組しているであろうにいる警察官に歯ぎし りしながら、 役場のトイレの中である人物にこっそり渡されたメモを確認した。
(大丈夫だ。こいつには完璧なアリバイがある。犯人じゃない… こいつから情報を手に入れる事が出来れば…きっと、針本の事も… 2年前の事も…全て闇に葬れる)
平本は思い出していた。そう1週間前の橋の上の事件だ。
―お前、まさか最初からそのつもりで。
と首にロープをかけられた針本が物凄い鬼の形相で森と平本に抑え られたまま見上げる。
―あんたが逮捕されれば、 私たちの事を白状するかもしれないでしょう。 それにあんたの金主になるつもりはさらさらないのよ。
と冴木麗子が蔑むように言った。 そして二人の男が橋の上から遥か下の地面に針本を放り投げる。
―やめろ、やめろ、ああああああああああ。
針本が落下した直後凄い音がしてロープが大きく揺れる。
―お、すげぇ。首とか取れているじゃん。
―さすが。これなら見つかるまで時間がかかるっしょ。 ヒャハハハハ。
森と平本は爆笑していた。
―俺たちは2年前に人を殺している。わかるだろうが。
(そうだ)平本はトイレの中で回想を終えた。
「俺は生きるんだ。そして映像クリエーターとして成功するのだ。 俺がここで終わるわけがない。終わるわけがないんだ」
平本はスマホで当該人物に対してメールを送った。「要求を呑む」 と。
そして平本はトイレの窓を見つめた。
島都は民宿側のトンネル出口の外の景色、 田んぼと川を再度振り返り、トンネルの中の長川警部を見た。
「こんなトリックが使われたのか」
長川は呆然とした口調で言った。
「長川警部の言う通り、本当の犯行現場はトンネルの北側だった。 そして」
都はトンネルを駅方向に少し歩いた。 そしてコンクリートの床を照らし出した。
「私の推理が正しければ、 絶対に証拠がこのトンネルに残っているはずだよ」
トンネルの中に何かが照らし出された。
「こんな証拠が」
女警部は呆然とした口調で言った。
「犯人は長川警部が今言ったように、 北出口を南出口と思わせるガジェットを準備して、 断末魔の冴木麗子さんに錯覚させたんだよ。 自分が南側出口にいるってね」
都は真っすぐトンネルの天井の奥を見つめた。
「犯人が宮内トンネルで森ディレクターを殺害した理由、 瑠奈ちんが白装束に着替えさせられていた理由、 犯人が瑠奈ちんを執拗に狙ったわけ、 そして犯人がわざわざ被害者の手首を生きているときに切断した理 由…その全てがわかったんだよ」
「都…」
長川が少女探偵に呼びかける。 だが都は決め台詞はまだ言わなかった。
「まだだよ、まだ最後の謎が残っているから」
都はそういうと立ち上がった。
「あと一人…あと一人だよ」
黒い影は写真の少女に向かって言った。 青野望美は写真の中で屈託なく笑っていた。
「必ず、敵を取るから」
夜明け前に民宿に戻ってきた都を「お帰り」 と青野ひろ子が出迎える。
「おばさん、ずっと起きていてくれたの」
民宿の食堂で都は目をぱちくりさせた。
「うん。 だって都ちゃんは事件の捜査で一晩中あっちこっちに行ってたんで しょう。疲れて帰ってきた女子高生探偵を出迎えてあげないとね」
ひろ子は都が青野望美の仏壇に手を合わせるのを優しく見守った。
「私ね、望美が死んでから、 もう自分には意味がないって思っていた。 でも都ちゃんや瑠奈ちゃん、華凛ちゃんに純也君、 哲士君に理奈ちゃんが、会いに来てくれて。 私の話し相手になってくれて。私凄くうれしかった。 望美がいなくなって凄く悲しい世界だけど、 でも望美が連れてきてくれた友達がいるわけでしょう」
青野ひろ子は都を見た。
「みんな、自分の子供みたいに思えてきたの。家族みたいに。 私は施設育ちで家族もいない天涯孤独だけど。 たった一人の家族の望美も死んじゃったけど… でもみんな私の家族」
青野ひろ子は都を見つめた。
「都ちゃんも私の家族なのよ」
「ひろ子おばさんが、私の家族…」
都は目を見開いた。
「だから都ちゃんがみんなの無実を証明してくれた時、 本当に嬉しかった」
ひろ子の目から涙が溢れている。
「本当にありがとね」
ひろ子の優しい母の顔に都は悲しげな顔をする。
「そうだ…純也君がね。都を待ってくれているのよ。 今畑の方にいるんじゃないかしら」
ひろ子のお知らせに都は目を丸くした。
「太田君が?」
太田純也は畑の切り株の上に座って朝もやの中ぼーっとしていた。
「太田君…ちょっといいかな」
都が大柄な少年ににっこり笑いかけた。 太田は都を見ると何も言わずに前を見た。
都は最後の事件の謎を直接彼に確かめることにした。 太田は物静かにそれに答えた。
「ありがとう…太田君」
都は言った。「本当にありがとうね」
夏の日差しの中、都は高台のお墓の前に立っていた。 その小さな墓石に都はそっと手を置く。
「望美ちゃん。全部分かった。この事件の全部がわかったよ」
その時だった。 その高台の小さなお墓へ続く樹木の道から一人の都の友達が現れた 。
「来ることはわかっていたよ」
都はお墓に目を合わせたまま言った。
「ごめんね。私いろいろあって、 まだ望美ちゃんのお墓に手を合わせてあげられていなかったから」
都はその友人を前で立ち上がり、その人物に笑いかけた。
「もう少しで病気を克服しようとしていたのに、 金と名誉の為に殺された私の大事な友達のお墓にね」
殺人者の目が見開かれた。
「貴方が最後に殺そうとしている人は、もう来ない。もう、 全ての謎は解けているから」
都は優しい口調で言った。
「この完璧なアリバイトリックも全部」
その友人の目が見開かれた。
【作者からの挑戦状】
さぁ、全ての謎は暴かれた。
犯人はいかにして第1、 第2の事件で鉄壁のアリバイを手に入れたのか。
犯人は誰なのか、ぜひ解いてみてください。
犯人はこの中にいます。
・本多華凛(16):高校1年
・太田純也(16):高校1年
・松岡哲士(16):高校1年
・石田理奈(15):高校1年
・青野ひろ子(36):民宿経営
・平本宗司(45):カメラマン
・高野瑠奈