少女探偵島都 2018年

2009年くらいから母親が書いていたシリーズ設定をもったいないので2018年より本格的にわいが引き継いでみました。大体1記事でアニメ1話分くらいの長さだと思ってください。コナンや金田一みたいな高校生探偵ミステリーを想定しています。

劇場版少女探偵島都2 岩本承平の殺戮4


7

 まさに岩本を悪霊かなんかだと思っているのか。異様な部屋の中で曽根周子(衆議院議65)は神経質そうに都と結城を見た。
「あなたたちが茨城県で数多くの殺人事件を解決してきた高校生探偵?」
「はーい」
都は手を上げて暢気に答える。
「言っておくけど、私は日本の未来を救う政治家よ! もし私がここで死ぬようなことになれば、日本は特定アジア諸国に占領される憂き目にあうわ。日本人が日本人でいられるかは今夜全てがかかっているのよ」
「はーい」
都はまた暢気に返事をした。
「それでは曽根議員。お伺いをしますが、数か月前の愛知県で行われた脳性麻痺の障害者をパーティーの余興で暴行死させ、死に追いやった事件。あの時の参加者がもう一名いるはずなんです。ご存じありませんか?」
「無いわ」
曽根周子はそっぽを向いて「つん」と言った。だが一瞬目を泳がせたその様子からして本当は知っているのだろう。
「知っていたら教えてくれませんかね。あなたの命を守るうえで、もう一人の参加者を知っておくことこそが、あなたの命を守るうえで大きな武器になるんですよ」
「知らないって言っているでしょ!」
曽根は悲鳴を上げていた。
「面会時間は終わりよ。出て行ってください」

 洋館の廊下で結城はため息をついた。
「とりあえず、厳戒態勢は敷いているんだし。本人は大丈夫なんだろうと思っているんだろう」
「いや」
長川は首を振った。
「曽根議員からしてみれば本当は誰にも会いたくないはずだぜ。何故なら前の国際会議場の事件でもテレビ局の事件でも外部の人間に岩本は変装して出入りしているんだ。岩本が殺人を犯す手段としてついてくるとしたら外部のお客様と曽根議員が接触する事件だろう。悪い事に、今日曽根議員ですら断れない人間が4人も面会する事になっているんだ。一人が…曽根議員が所属する大日本会と呼ばれる政治団体の会長の高柳五百(いも)」
ダンブルドアみたいにひげを蓄えた男がセキュリティを超えて入って来る。高柳五百(69)は背広姿で警察官に敬礼してから堂々とした足取りで入ってきた。
 別の警官が高柳に紙を見せる。紙には
―もし毒を飲まされて脅されている場合、直ちに医師が解毒剤を用意して待機しています―
と書かれている。
「なんだね。私が岩本みたいな殺人鬼にあっさり脅されるとでも思うかね」
高柳は不快そうに歩き出した。
「さっきセキュリティも超えたし、この状況では毒を飲まされ脅されている可能性は低いだろうが」
結城は油断なく高柳を見つめる。
「あ、もう一人が来たぞ」
長川が言った。玄関ホールのセキュリティを超えてやってきた人物を見て、都が素っ頓狂な声を上げた。
「あ、岩本君だ!」
「馬鹿」
結城が口をふさいだ。
「この人は曽根議員の宗教指導者の小塚パウロ。あの袋で隠した顔は信者を火事から助け出した時の傷だ」
「僕はいかなる憎しみも甘んじて受ける覚悟があります」
毒のプレートを見せられても平然とした表情の小塚パウロ(宗教指導者、43)は結城と都に会釈して右手で十字を切って奥へと進んでいく。
「ん、今度はなんかみすぼらしい男が来たぞ」
髪の毛が白髪交じりで長髪で、歯がボロボロでへらへら笑っている男が、ルンペンみたいな恰好でセキュリティを超えていく。
「陽明正太郎。ネトウヨブログの管理人で議員を熱烈に支持している男だ。奴の背景にいるネトウヨが議員の支持母体だからな。合わないわけにはいかなかったんだろう」
長川はため息をついた。陽明は都を見ると厭らしく笑って
「君が少女探偵島都ちゃんだよねぇ。ひひひ。ちょっと僕と話そうよ。叔父さんがいろんなことを教えてあげるからさぁ」
「結構だ!」
結城がぎろりとにらみつけると陽明は「ひぃ」と声を上げて逃げ出した。
「4人目は」
結城が聞くと、長川は「4人目は大物だぞー」と唸った。

 黒塗の高級車がマスコミのフラッシュを受けながら坂道を上がっていく様子を瑠奈と千尋と秋菜は見つめる。
「つまんないなー」
千尋は言った。
「私たちだって、探検部のチームなのに」
「仕方ないよ。曽根議員が都と結城君だけって言っていたんだし」
「私なんて一番弟子ですよ」
秋菜はため息をつく。
「お兄ちゃんより役に立つと思うけどなぁ」
秋菜はため息をついてふと走っていく高級車を見つめていく。マスコミのフラッシュで窓が光った。
 その瞬間、秋菜は真っ青になった。
「る、瑠奈さん?」
秋菜の声が震える。
「岩本です…岩本が高級車に乗っているんです!」

「なんだって?」
結城が携帯電話に喚く。
「うん、一瞬見えただけなんだけど、確かに病院で秋菜ちゃんを脅した細目の人に似ているみたい」
瑠奈の幾分興奮した電話の声が、スピーカーモードで長川にも聞こえる。
「あいつか」
長川は慌てて秋菜からとったモンタージュ写真を、大物議員の秘書の細目の男と比べる。髪型は変わっているが確かに似ていた。
「あいつ、ひょっとして内閣副総理の朝川一郎じゃないか」
結城の声が震える。
「誰、それ」
目をぱちくりさせる都に結城は「日本政府の№2」と答えた。
「ほえーーーー」都はゴリラでも見るような目で朝川一郎(71)を見つめる。彼は白髪が剥げておでこのしわと口元がかなり眠そうだ。彼はセキュリティに素直に応じ荷物も預けて中に入ってきた。問題は秘書だった。長川は秘書を用心深く見つめるが、Ⅹ線セキュリティにも予め登録された網膜センサー、指紋センサーも彼は突破した。
「すいません。あなたは岩本承平に脅されているって事はありませんか? 例えば毒物を注入されるなどして」
「は? 何のことでしょう」
「それに対応した医師なども準備しております」
「ご心配なく。私は脅されてなどいません」
秘書の増岡嘉一(32)は呆気にとられた表情をした。そしてすぐに「失礼」と朝川に付き従う。
「人違いか?」
長川はじっとその秘書を見つめていた。

 ヘリコプターで上空を警備している女性パイロットの青山は、洋館周辺の森で不審な動きをする熱源はないか徹底的に監視していた。情報は県警本部にモニターされている。

 都と結城は大広間タブレット端末でYouTubeで面会人4人の過去の映像をチェックし、おかしい場所がないかチェックしている。
 小塚パウロは過去の教会内での説法の様子が見つかった。左手でマイクを持ち、熱心に説法している。真っ白な助清みたいな仮面の奥に熱い思いが見て取れた。
―私は神は平等に皆さんを祝福していると考えています。
陽明正太郎はマスコミに顔出しはせず、ほとんど映像はヒットしていない。高柳や朝川はニュース映像から嫌というほどヒットした。特に朝川は国会や予算審議でのふてぶてしい態度が嫌というほど。ただ秘書の増岡の動画は見つからなかった。
「ま、全員さっき徹底的にスキャンされて本人だと確認されているんだ。少なくとも岩本に成り代わっている人間はまずいないだろう」
結城は言った。

 とんでもない。実は既に岩本は洋館にいる人物に成りすまして、この洋館に入り込んでいた。
「あと1人だ…あと1人殺せば、和人さんの無念を晴らすことが出来ますね」
岩本は思い出していた。

数か月前。彼はコンビニ店長で高校生従業員に酷いパワハラを行い自作の拷問グッズで死に追いやりながら、死亡との因果関係が認められないと罰金刑で済まされた人間を殺害するプランを練るために、コンビニ前をうろついていた。その時声をかけてくれたのが野畠和人だった。
「あのー、すいません…おなかが空いているんですか」
痩せこけて年齢以上に老け込んだ男性は笑顔でおにぎりを差し出す。
「遠慮はしないでください。人生で困ったときに声をかけてくれる人がいたら、きっとそれがきっかけで乗り越えられるものですから」
その時の和人の優しい笑顔は忘れられない。

「僕もあなたが困っている時に声をかけられる人になりたかった」
彼は雨の中廃材置き場に放置され、死んでいった和人を思い出し、彼が華やかなパーティーの余興で障害者なのにボクシングを強要される残虐な映像を見た時の憎しみを思い出す。
「あなたはきっと復讐は望まないでしょう。ですが、あなたをこんな目に合わせた人間が生きている事こそが僕に死よりも苦し痛みを味合わせるのです」
岩本は和人の為に十字を切った。そして殺意に満ちた目を見上げる。

8


その気配を感じたのだろうか…。都は目を見開いてあたりを見回した。不気味な洋館の古びたレトロなロビー。この屋敷のどこかに岩本が潜んでいる。都の直感は…そう知らせていた。
「そろそろ4人の面会が始まるな」
腕時計を見ながら長川は言った。
「順番はどうなっているの?」
都は考えながら言った。
「最初が高柳会長、次が朝川議員。3番目が陽明だそうだ。4番目のパウロさんは曽根議員の部屋の横にある画廊を見てからだと」

 画廊の絵画を見て回る宗教指導者や大物議員、そして女子高生探偵の様子を監視モニターで見ながら曽根議員は緊張した表情で顔を震わせている。

 都は胸を押さえている。物凄い緊張しているようだ。
「大丈夫か? 都。顔が真っ青だぞ」
結城が声をかける。
「ごめん。何か嫌な予感がしているんだよ」
「嫌な予感って…あの議員秘書の事か?」
「うん」
都は言った。
「大丈夫だ」
長川は言った。
「あの議員は部屋には入れない。部屋に入れるのは朝川議員だけだ」
「うん」
都の体は震えてきている。
「私たちは万全の準備をした。常識的に考えて岩本承平がセキュリティを突破して誰かに変装して曽根議員を殺すなんてことが出来るはずはない」
「でも岩本君は私の想像では勝てない方法で人を殺してきたんだよ。何かあるはずなんだよ。セキュリティーを突破して曽根議員を殺す方法を岩本君は考えているはずなんだよ」
都の声が泣きそうになる。
「都‼」
結城は都の肩を掴んだ。真っ直ぐその目を見つめる。
「お前は推理するときこんな深刻な顔はしなかったはずだ。もっとこうほえーーーーとしてぽにょーーーんとして…そうやってお前は自然体でリラックスして物事をありのままに見つめてきたはずだ」
「結城君…」
都は目をぱちくりさせる。
「お前なら大丈夫だ…」
結城は頷いた。
「そうだよね…」
都は笑顔で笑った。
「さぁ、島都…のほほーんとした頭で」
結城に言われて、都はふにゃふにゃとしたシルエットになる。結城は「ふにゃふにゃになりすぎ」と突っ込みを入れた。
「『岩本承平が誰かに成りすましてセキュリティを突破して誰かに変装して曽根議員を殺す』方法を考えてみよう!」
「そんなの無理だよー」
都はげへげへ笑いながら言ったので、結城はすっころんだ。
 だが都の表情ははっきり変化した。
「そうなんだよ。無理なんだよ! 絶対に無理なトリックなんだよ。それなのになんで私はこんなことを考えていたんだろう!」
都は結城に大声で言った。そして長川警部を振り返った。
「長川警部。今は誰が面会しているの?」
「時間的に…」長川は腕時計を見た。
「朝川議員の時間だな!」
「いけないっ」
都は走り出した。
「都、どういう事だ!」
長川が後を追いかける。
「わかったんだよ! 岩本君が考え出した最後の殺人プランが!」
都は言った。
「今まで考えたこともなかった恐ろしいトリックのプランがね」

密室の中で朝川はネグリジェ姿のまま震えている曽根周子議員に近づいた。
「すまないが長い話が必要でね…少し電子ロックのリモコンを渡してくれないか?」
曽根議員は机の上のリモコンを指さした。
「ドアが閉まると自動的にロックがかけられますわ」
「さて、曽根君。君は私たちの党に多大な貢献をしてくれた。君の歯に衣着せぬ発言は与党の大物議員たちの本心を代わりに言ってくれる存在としてとても価値のあるものだった。批判の矢面に立ってくれて感謝するよ」
朝川議員はネクタイを首からむしり取って手に巻き付けた。
「だが、君は数か月前の愛知県でのパーティーであった余興について罪を告白してあの殺人鬼に命乞いをしたよねぇ。あれでは困るなぁ。この国を動かしている人間ではなく自分の命を優先して国を混乱させるような事を言うようでは、君の愛国心も所詮は似非的なものでしかなかったという事だ」
「何を言っているんですか…」
曽根議員の声が震える。
「つまり、私の政治的生命を守るために死ぬのが、本当の愛国者ではないのかね」
この時の朝川の顔は残虐だった。
「わ、私を殺すんですか」
ネクタイで首を絞める格好をする朝川に曽根は悲鳴を上げてベッドの布団から壁に飛びのく。
「そ、そんなことをここでしていいんですか?」
「緊急避難だよ」
朝川議員の顔は殺人鬼の顔だった。
「私はここに来るまでに遅効性の毒を自ら煽った。それを岩本に飲まされたと言えば、私はあの殺人鬼に狙われ脅された被害者だ。警察も個人情報や何があったかは配慮して隠してくれる」
「ま、まさか殺人予告を送ったのも」
「増岡君は良くやってくれたよ」
恐怖に目を見開く曽根議員を前に殺人議員はにやついた。
「あの女子高生探偵の友人に岩本に成りすまして病院で君を殺すと吹き込んでおいたんだ。下手に変装するより素顔のままで予告した方がよっぽど効果があったよ。放っておいても岩本が殺してくれるとも思ったんだがね。君が罪を認めた場合彼は君を殺さず生かしておく可能性もあった。警察庁から仕入れた資料にはそう書いてあったからね。だから自分で岩本の殺人劇を作り出すことにしたのだよ」
「開けろ。開けるんだ」
どんどんとドアを叩く音がする。
「斧だ。斧を持ってこい」
女警部の怒声が響き渡る。
「急がないといけないな」
殺人議員はネクタイを両手にゆっくり、ゆっくりと曽根に近づいていく。

「そうなんだよ」
都は結城が何度もドアを破ろうとするのを長川が押しとどめる中で冷や汗をかいて言った。
「この第三の事件、考えてみれば変だったんだよ。岩本君は今までの殺人を見ても罪を悔やんで償おうとしている人は例え悪い事をした人でも殺さなかった。だから怯えた曽根議員が必死で罪を告白して償うからと命乞いをした時、殺人予告を送って来るなんて変だと思うべきだったんだよ。そしてあなた」
都は廊下にいる増岡秘書をじっと睨みつけた。
「あなたは病院で秋菜ちゃんに曽根議員の殺害を予告していたよね。あなたが朝川議員の車で一緒にここに来るのを外にいた秋菜ちゃんが見ていて私に教えてくれたんだよ」
「証拠はないだろう?」
増岡は不敵に笑った。
「君の友人の勘違いかもしれない」
その時、屈強な刑事が斧を持ってきて、ドアを叩き壊そうとする。
「証拠なんて言ってられないかもしれないよ」
都は言う。
「だってこのままだと殺されちゃうのは朝川議員の方だから」
「え」
長川が驚愕の表情で都を見る。

「うわぁあああああああ」
朝川が悲鳴を上げて後ずさりする。
 立ち上がったのは男の足で仁王立ちし、上半身にネグリジェがあって顔は曽根周子という異様な姿だった。
「待っていましたよ。あなたが来るのを」
甲高い声は言った。

「岩本君がテレビ局と国際会議場であんな劇場殺人をやったり、私に殺人を予告したのも…全て朝川議員をおびき寄せるためだったんだよ。朝川議員は日本を動かす大物議員で人殺しだって平気でやる人。だからあのパーティーに参加していた人間を岩本君が殺す前に拷問したとしても、裏切ったとバレるのが怖くて被害者はみんな朝川議員の名前は出さなかった。だから岩本君自身、パーティーの“撮影者”が誰なのかわからなかったんだよ。だからこの洋館で殺害予告を出された女性議員に成り代わって、撮影者が何らかの動きをするように、YouTubeに動画を残した」
都は言った。
「じゃぁ、まさか…岩本承平は曽根周子に最初から成り代わっていたのか」

岩本は曽根周子の顔を引きちぎって髑髏の悍ましい顔を朝川議員の前にさらけ出した。同時に曽根議員の足の部分がぼとぼと床に落ちる。
「うわぁあああああああああああ」
そのエバーミング処理された切り口を見て朝川は絶叫する。切り口には骨もしっかり見えていた。
「で、でも曽根議員の足は…あの女の足に岩本が変装できるわけないだろう」と結城。
「あの足は本物の曽根議員の足だよ。多分岩本君の下半身はソファーの中に隠してあったんだよ」
「じゃぁ、曽根議員は」
と長川が声を震わせる。
「もう殺されているよ」
都は言うと増岡は恐怖におののいてへたり込む。
「岩本君の殺人の目的はあくまで殺す事。そんな岩本君が世間を騒がせたり私に予告を出したのは、テレビ局の事件と国際会議場の事件で私に『どうやってセキュリティを超えて中にいる標的を殺し外に脱出するか』って問題を考えるようにインプットするためのものだった。だから第三の事件でも私はその問題に対する解答をひたすら考えていたんだよ。でも岩本君は既に最初からセキュリティに守られていたんだよ。曽根議員を国際会議場の事件より前に既に殺した上で。彼にとって予告殺人は愉快犯でも何でもなく、野畠和人さんを殺したもう一人の人間を暴き出してこの密室で殺害するためだったんだよ」
都は言った。
「駄目です。斧でも扉は壊れません」
「内部に金属が埋め込まれているようです」
「くそ、どうすればいいんだ! このままだと岩本に最後の殺人を実行されちまう」
長川が苦渋の声を出すが、都は「警部、落ち着いて」と言った。
「多分岩本君はこの部屋で朝川議員を殺した後、朝川議員の顔面を手に入れて、それで変装してこの部屋を脱出するつもりなんだと思う。でも私たちが気が付いている事はあのカメラで知っているはず。そうだよね! 岩本君!」
都は天井のカメラを射抜いた。そう、こんな状況で都が延々と推理を聞かせていたのは、そういうわけだったのだ。

部屋の中で岩本はその様子を手にしたスマホアプリから見ていた。
「さすがは都さんだ」

「窓も防弾ガラスだし、この状況で私たちを強行突破するには人質をとるしかない。だからこの部屋の中で朝川議員を殺すなんて事はないはずだよ」
「つまり、人質を取って脱出を図るわけか」
長川が冷や汗をかきながら笑った。長川も別の2人も拳銃を取り出す。
「その時が最後のチャンス…」
都は言う。
 と、その時…扉が開かれた。
「さすがは都さんだ」
3D拳銃を朝川の首に突きつけた上半身ネグリジェの不気味な骸骨の男が姿を見せる。
「全員廊下に下がってください」
岩本はそう命令した。